寺尾聰の博士と深津絵里の家政婦と、そしてルートとの心の交流が上手く表現されている映画ではなかったでしょうか。
たった、80分しか無い記憶の中で、毎日新しい出会いとして生きていくことの苦しさは、通常の生活を送る私達には分からないけれど、寺尾聰の演じる博士は、その点の苦悩をどのように解決し、演じたのか、そちらに興味がありました。
面白い小説を探している時に何かのヒントになるかもしれません。
寺尾聰の博士と深津絵里の家政婦と、そしてルートとの心の交流が上手く表現されている映画ではなかったでしょうか。
たった、80分しか無い記憶の中で、毎日新しい出会いとして生きていくことの苦しさは、通常の生活を送る私達には分からないけれど、寺尾聰の演じる博士は、その点の苦悩をどのように解決し、演じたのか、そちらに興味がありました。
本書『博士の愛した数式』は、文庫版で291頁の第1回本屋大賞を受賞した長編小説です。
80分しか記憶が持たない数学者と家政婦とその家政婦の息子が織りなす物語で、さわやかな感動をもたらしてくれる作品です。
「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。(「BOOK」データベースより)
本書『博士の愛した数式』は、とにかく描かれている数学者の数字に対する愛着がすごく、その愛着を表現するのに数字に関する様々なエピソードが記されています。
そのエピソード、豆知識もまた面白く、惹き込まれてしまいます。
一例を挙げると、博士は80分しか記憶が持たないがために、家政婦の息子が学校から帰ってくると数学者にとっては毎回初対面で、毎回同じ質問、会話がなされることになるのです。
このように短期間しか記憶が持たないために種々の不都合、不便さが付きまとうなか、三人は心を通わせていきます。
本書『博士の愛した数式』は、色々なことを考えさせてくれる一冊でした。
他の作品も読んでみたいと思わせられる作家さんです。