変な家

変な家』とは

 

本書『変な家』は『変な家シリーズ』の第一弾で、飛鳥新社から2021年7月に刊行されて、2024年1月に256頁で文庫化された長編の推理小説です。

あまりの評判のために読んではみたのですが、期待が高すぎたのか私の好みとはかなり異なる作品でした。

 

変な家』の簡単なあらすじ

 

知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。不可解な間取りの真相とは!?YouTubeで話題となった「変な家」の全ての謎が解き明かされる完全版。設計士栗原による文庫版あとがきも収録。(「BOOK」データベースより)

 

変な家』の感想

 

本書『変な家』は『変な家シリーズ』の第一弾で、映画化もされるほどに話題を呼んだホラーチックな作品です。

その評判の高さのために読んではみたものの、肝心の謎解きの部分に入るととたんに興味が薄れてしまいました。

 

本書『変な家』はその独特な視点といい、ホラーチックな語り口といい、読者の期待値を上げる技術は感心するばかりでした。

そもそも本書は作者の雨穴氏がYouTube上に仮面で登場して語るという独特な手法で登場し、語られる内容もこれまでにない斬新な観点からのものであるところから人気を博し、書籍化されたものです。

すなわち、本書は語り手のもとに奇妙な建物の間取り図が持ち込まれることとから始まります。

その後、語り手の知り合いの建築士の栗原が探偵役として問題の間取り図の違和感、そして異常さを指摘、その謎を解き明かしていく物語です。

 

この冒頭での異常さの指摘から謎解きへと移行するまでは、建築士の栗原による妄想という前提で示される謎解きに突然すぎる奇妙さを感じながらも、かなり惹き込まれて読み進めることができました。

それでもこの栗原による謎解きも根拠のないひらめきが示されているだけだったのですが、その裏付けがあとで提示されるだろうとの思い込みからそのまま読み進めたものです。

 

確かに、本書冒頭から示される建築図の間取りの異常さは読者の関心を惹き付けるには十分なものがあります。

まず、二階にある、外壁には全く接しておらず、出入り口は二重扉であり、トイレもあってまるで監禁部屋としか思えない子供部屋の存在は異常です。

さらには、一階部分との兼ね合いから見えてくる二階の子供部屋のさらなる異常性は読者を惹き付けて離しません。

 

しかしながら、一旦謎が明かされていく場面になると、提示された謎がそれまでの期待を一気に裏切るものとして変化したのです。

でもこの変化は一般的には受け入れられたものであり、だからこそYouTube上、そして書籍化されてからも人気を博し、さらには映画化までされたのです。

ただ、謎解きが私の好みと違ったということです。残念でした。

また、本書には『変な家 2』という続編も出ています。私も一旦は手に取ったもののやはり最後まで読み終えることができませんでした。