堀井香恵は、文具店でのアルバイトと音楽サークルの活動に勤しむ、ごく普通の大学生だ。友人との関係も良好、アルバイトにもやりがいを感じてはいるが、何か物足りない思いを抱えたまま日々を過ごしている。そんななか、自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でそのノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。(「BOOK」データベースより)
長編の恋愛小説です。
文章がいい。
映画化され、その解説などを読んでいると普通のお涙頂戴のラブストーリーだと思っていたので原作を読むつもりは全くなかったのだけれど、図書館でちょうど目の前にあったので、作者が「犯人に告ぐ」の人でもあったこともあり、つい借りてしまったのです。
読み始めるとさすがに面白い。テンポのいい文章に引き込まれついつい一気に読んでしまいました。
物語の流れは読み始め近くで予想がつくのだけれど、筆の力とテンポで引っ張られてしまいました。
最後がちょっとご都合主義的な感じが無きにしも非ずですが、それはまあご愛嬌ということで・・・。
引っ越した先のクローゼットに置き忘れられた一冊の日記。その中で息づく一人の女性とその女性に対する主人公の女性の想い、この作家のうまさが全面に展開されていると感じました。
単なる恋愛小説と思っていたので借りてみて良かったです。でもこの本は良かったけど、他の恋愛小説は多分読まないでしょうね。
とはいいながらも、やはり私は苦手、とつぶやきながら、第159回直木賞の候補作となった窪美澄の『じっと手を見る』や、2018年本屋大賞候補作の知念実希人の『崩れる脳を抱きしめて』などの恋愛小説にも手を出している私です。
なお、この作品は、監督は行定勲、ヒロインに沢尻エリカ、ノートを書いた教師に竹内結子というキャストで映画化されました。