日本沈没

伊豆・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。折から日本各地で大地震や火山の噴火が続発。日本列島に驚くべき事態が起こりつつあるという田所博士の重大な警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせる。小野寺も姿を隠して、計画に参加するが、関東地方を未曾有の大地震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。全国民必読。二十一世紀にも読み継がれる400万部を記録したベストセラー小説。(上巻 :「BOOK」データベースより)

とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。(下巻 :「BOOK」データベースより)

 

文字通り日本が沈没してしまう様子を壮大なスケールで描く長編のSF小説です。

 

小松左京と言えばまずは「日本沈没」を挙げるべきなのでしょう。

この本はいわゆる宇宙を舞台にしたり、タイムトラベルをするといったいかにも現実とかけ離れたSFとは異なり、社会的な問題提起を含む日常の延長上にある物語として、SF嫌いの人にも受け入れられる物語です。

 

1973年と2006年の二度にわたり映画化もされ社会現象を引き起こしました。その発想はすごいです。でも、SFとかそうではないとか、分類はどうでもいいのです。単純に物語としてとても面白く読むことができます。

 

 

日本が沈む、そのメカニズムよりも、日本列島という基盤を失った日本人はその後どう生きていくのか、が書きたかったらしいのですが、生前には書かれることはありませんでした。

先年続編が出版されましたが私は未読です。

また、映画もリメイクされそこそこヒットしたと思います。見ましたが、ヒットした理由は分かりませんでした。

果しなき流れの果に

N大学理論物理研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。それは永遠に砂の落ち続ける砂時計だった!白堊紀の地層から出土されたというその砂時計の謎を解明すべく発掘現場へと向かう一行だったが、彼らは知る由もなかった―その背後で十億年もの時空を超えた壮大な戦いが展開されていようとは。「宇宙」とは、「時の流れ」とは何かを問うSFの傑作。(「BOOK」データベースより)

 

日本SFの傑作作品と断言できる、長編SF小説です。

 

一言でこの「果しなき流れの果に」という本の内容を言えば、十億年という時の流れの中で人類の存在そのものを考察していく、と意味不明なまとめになってしまいますが、そのスケールの大きさ、着想力の凄さで日本SF界のベストだと思っています。

実際、ちょっと前のSF好きの人なら知らない人はいない小説と言っても過言ではないでしょう。いや、この本なら今の若い人たちでもSFが好きという以上は知っていて当然かもしれません。

たとえSF好きではなくても、絵空事の話は受け付けないという人を除いて絶対お勧めです。

 

海外には映画「2001年宇宙の旅」の原作者であるアーサー・C・クラークの「都市と星」「幼年期の終わり」という名作がありますが、この「果しなき流れの果に」と光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」はそれに勝るとも劣らないと思います。