新装版 ブラックペアン1988

一九八八年、世はバブル景気の頂点。「神の手」をもつ佐伯教授が君臨する東城大学外科教室に、帝華大の「ビッグマウス」高階講師が、食道癌の手術を簡単に行える新兵器「スナイプ」を手みやげに送り込まれてきた。揺れる巨艦…!大ベストセラー『チーム・バチスタの栄光』に繋がるミステリー、一巻本として新装刊行。(「BOOK」データベースより)

 

「田口・白鳥シリーズ」に登場する役者達が時代を遡り、若かりし姿となって活躍します。

主人公は東城大学医学部付属病院の研修医である世良雅志。後に病院長となる高階権太や若かりし看護師の藤原や猫田などとの間で医師として成長していくのだった。

 

やはりこの人は医者ものがいい。普段眼にも耳にもしない情報が盛り込まれているし、登場人物が医療の世界で生き生きと動き回っている気がします。

世良雅志の成長の物語ではありますが、青春小説としても読めなくはないかもしれません。

 

最後の落ちはそれなりに納得のいくものではありますが、この結末への伏線として必要な設定であるにしても、そこにいくまでの重鎮の言動に少々無理を感じてしまいました。

 

「バブル三部作」と名付けられたこのシリーズは、この後「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」と続きます。

 

ジェネラル・ルージュの伝説

ドラマ「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」も絶賛放送中、救命救急センター・速水医師の外伝が登場! 単行本に収録されたジェネラルの原点「ジェネラル・ルージュの伝説」に、新たに書き下ろした「疾風」と、その後の物語「残照」も収録! さらに、文庫用に大幅加筆したエッセイや、自作解説で、創作の秘密を惜しみなく明かします。巻末にはファン必見の年表&主要登場人物リスト&用語解説辞典付き。とんでもなく豪華な一冊です!(Amazon内容紹介より)

 

シリーズ外伝にあたる短編や、エッセイなど、ファンにはたまらない内容の一冊です。

 

他の場所でも書きましたが、「ジェネラル・ルージュの凱旋」と「ナイチンゲールの沈黙」と時間軸が同じなのは、もともとこの両者は同じ物語であったものを切り分けたものだそうで、時間が同時進行なの当たり前な話でした。

そういう裏話満載の海堂ワールド全開の解説本です。

 

いままで、同じ作家のひとつのシリーズで物語の世界が同じというのは、特にSFなどでは何回かお目にかかったことがあります。

しかし、同じ作家の全作品が舞台を同じくするというのは初めてでした。本人も書いていましたが、整合性を保つのはかなり難しいのではないかと思われます。

 

本書の冒頭にジェネラル・ルージュの速水の物語があります。短編であり、もう少し読みたいと思わせられる物語でした。と同時に、こうした、物語にスピードがあり、ヒーローがヒーローとして活躍する定番の話が読んでいて面白い物語になるのだと思いました。

勿論、作者の筆力、構成力あってのことなのですが。更に、その裏に人情話が絡めば言うことはありません。速水を助ける猫田のルージュに絡む話などは一番です。

ジェネラル・ルージュの凱旋 [コミックス]

累計部数1000万部突破の大人気「チーム・バチスタ」シリーズが、マンガ文庫で登場です!
伝説の歌姫が緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口公平の元に匿名の告発文書が届く。“将軍(ジェネラル)”の異名をとる、救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着していると……。ふたたび調査に乗り出すこととなった田口・白鳥コンビが大活躍!! 大人気ベストセラー小説をマンガで一気読みできます!(Amazon内容紹介より)

 

未読です。

チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋 [TVドラマ版 DVD-BOX]

海堂尊のベストセラー小説を伊藤淳史主演でTVドラマ化したシリーズ第2弾のBOX。意識不明の杉山沙希が搬送され、過去に診察したことがあった田口は、救命救急センターに呼び出される。さらに厚生労働省の白鳥まで現れ…。全12話を収録。7枚組。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

未見です。

ジェネラル・ルージュの凱旋 [映画版 DVD]

竹内結子、阿部寛主演の医療ミステリー『チーム・バチスタの栄光』の続編。東城大学付属病院の窓際医師・田口公子と厚生労働省の切れ者官僚・白鳥圭輔が、“ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)”の異名を持つ救命救急センター長の癒着疑惑に挑む。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

この映画を見たときは原作のイメージとの差は織り込み済みだったし、竹内結子、阿部寛という好きな役者さんなので、映画版の田口や白鳥もそれなりに違和感無く受け入れることが出来ました。何より、速水役の堺雅人が良かったですね。やはり演技の上手い人はどんな役でも光っています。

新装版 ジェネラル・ルージュの凱旋

東城大学医学部付属病院に伝説の歌姫が緊急入院した頃、不定愁訴外来の田口公平の元には匿名の告発文書が届いていた。救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長の特命で疑惑の調査を始めた田口だったが、倫理問題審査委員会の介入や厚生労働省の変人役人の登場で、さらに複雑な事態に巻き込まれていく…。「バチスタ」シリーズ第3弾、待望の新装版!(「BOOK」データベースより)

 

「バチスタ」シリーズ第三弾の長編の医療ミステリー小説です。

 

不定愁訴外来の田口公平のもとへ東城大学病院救急救命センター長の速水に対する匿名汚職告発状が届いた。

この問題は倫理問題審査委員会にかけられるのだが、同委員会にはオブザーバーとしてロジカル・モンスター白鳥も参加し、更には救命センターでは白鳥の部下である姫宮が新人ナースとしての研修を受けるのだった。

 

問題児である白鳥の出番が少なく、代わりに姫宮なる女子が登場します。この女性が白鳥に輪をかけた存在であって、強烈な個性を持っています。

でも、本書の特徴としては、キャラの面白さもさることながら、作品の時系列として2作目『ナイチンゲールの沈黙』と同時進行になっている点が挙げられます。

 

 

作家が特定の世界を構築し、その世界の中で作品世界を展開することはよくある手法だし、この作品もそうなのだけれど、時間軸が同じという手法には初めて接しました。

後で調べてみると、当初は一冊の本として書かれていた原稿を出版社の意向により二冊に分けたのだそうです。しかし、そのおかげと言って良いのか、なかなかにユニークな構成になり、面白さも増したのではないでしょうか。

 

本作の主要人物であるジェネラル・ルージュたる速水の活躍が小気味良い作品となっています。

スーパーヒーローが危機に際しその能力を十分に発揮し、結果としてその判断を誤ることは無い、という物語は読み手にカタルシスをもたらすものです。

ミステリー小説としてはいかがなものかという意見があるようです。しかし、個人的にはミステリーであるかどうかは関係が無く、読んだ時間が楽しかったと思えればいいと思っているので、本書は十分に面白い時間だったと言えます。

チーム・バチスタ第2弾 ナイチンゲールの沈黙 [TVドラマ版 DVD-BOX]

海堂尊の原作を伊藤淳史と仲村トオル主演でTVドラマ化したシリーズのスペシャル版。“バチスタ事件”から9ヵ月後。東城医大で脳腫瘍の除去手術を受けた少年が、原因不明の脳幹出血を起こし植物状態に。診察医の田口は、院長から内部調査を命じられる。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

未見です。

新装版 ナイチンゲールの沈黙

眼球を摘出されてしまう子供たちのために、不定愁訴外来の田口公平がメンタルサポートをすることになる。また高名な歌手水落冴子が神経内科の特別病室に入院してきた。一方、小児科に入院している子供の父親が死体で発見される。そこに、警察庁から来た加納警視正と問題児白鳥が絡み、事件は複雑な様相を呈していくのだった。

この作者の本で最初に読んだのはこの本でした。まずは映画「チーム・バチスタの栄光」で見た探偵役「白鳥」のイメージの違いに驚いたものです。同時に、各キャラの書き分けが実に巧妙で読んでいて面白い

眼球を摘出されてしまう子供たちのために、不定愁訴外来の田口公平がメンタルサポートをすることになる。また高名な歌手水落冴子が神経内科の特別病室に入院してきた。一方、小児科に入院している子供の父親が死体で発見される。そこに、警察庁から来た加納警視正と問題児白鳥が絡み、事件は複雑な様相を呈していくのだった。

この作者の本で最初に読んだのはこの本でした。まずは映画「チーム・バチスタの栄光」で見た探偵役「白鳥」のイメージの違いに驚いたものです。同時に、各キャラの書き分けが実に巧妙で読んでいて面白いと思いました。

文章は論理で組み立っているようで、しかし怜悧というわけでもなく、読み手に畳み掛けてくる面白さがあります。

でも、何といっても一番の特徴は田口、白鳥という探偵役のキャラの設定の面白さではないでしょうか。

ただ、音楽による脳内イメージの喚起、という物語上の重要な設定が素直に受け入れられず、その点に違和感が残り少々物語世界への感情移入が出来にくく感じました。

でも、久しぶりに物語としての面白さを感じた小説です。

本書の「眼球を摘出されてしまう子供たち」の一人に佐々木アツシという少年がいます。後に、この少年を主人公として『モルフェウスの領域』と『アクアマリンの神殿』という小説が書かれます。

佐々木アツシ少年の残された片目をも病魔が襲ったため、彼を世界初の「コールドスリープ」技術により五年間の眠りにつかせる、というSF仕立ての話なのです。特に『アクアマリンの神殿』に至っては青春小説の趣さえあるのですが、個人的には今ひとつの作品でした。
と思いました。

文章は論理で組み立っているようで、しかし怜悧というわけでもなく、読み手に畳み掛けてくる面白さがあります。

でも、何といっても一番の特徴は田口、白鳥という探偵役のキャラの設定の面白さではないでしょうか。

ただ、音楽による脳内イメージの喚起、という物語上の重要な設定が素直に受け入れられず、その点に違和感が残り少々物語世界への感情移入が出来にくく感じました。

でも、久しぶりに物語としての面白さを感じた小説です。

チーム・バチスタの栄光 [コミックス]

原作は、第4回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作の『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊)。現役医師が描くメディカル・エンタテインメントとして、話題騒然の本作。単行本は28万部の売れ行き、11月に発売された文庫は上下合わせて100万部突破、2008年2月9日には映画も公開(主演・竹内結子/阿部寛、全国東宝系)。(Amazon内容紹介より)

 

あまりい評価はありません。

チーム・バチスタの栄光 [TVドラマ版 DVD-BOX]

「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した海堂尊の同名ベストセラーを、伊藤淳史と仲村トオル共演でTVドラマ化したBOX。不可解な連続術中死の真相を暴くため、心療内科医と役人のふたりが調査を開始する。全11話を収録。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

Amazonの内容紹介には、
本作には、オリジナルの結末が用意されています。
医療ミスなのか?殺人なのか?原作とも映画とも違う展開から目が離せません。
と記載してありました。