あなたが愛した記憶

興信所を営む曽根崎栄治の前に、女子高生・民代が現れる。十九年前に突然姿を消した恋人・真弓が産んだ栄治の娘だと主張する彼女は、二人の人物を探して欲しいと依頼する。半信半疑ながら栄治が調査を進めるうち、民代は、調査対象者のどちらかが世間を騒がす残虐な連続監禁殺人事件の犯人だと言いだし…。この子は一体、何者なのか。犯人の正体は何なのか。ノンストップ恋愛ホラーサスペンス!

 

長編のホラーサスペンス小説です。

 

曽根崎栄治という興信所を経営する主人公の前に、曽根崎の娘だという女子高生が現れて人探しを依頼する。

報酬は今話題の猟奇殺人事件の犯人と、曽根崎が昔愛した女性の日記だという。曽根崎はその依頼に応じて探索を開始するが、その先にあるのは常軌を逸した出来事だった。

 

ホラーテイストが強い、この作家らしい作品です。いわゆるノンストップホラーと呼ばれる範疇に入るのでしょう。紹介文には「恋愛ホラーサスペンス」とありました。

「ストロベリーナイト」等に比べると若干キャラが弱いというか、ちょっと見劣りするけど、それでも面白い作品です。

武士道シックスティーン [DVD]

3歳から鍛錬を積んできた中学チャンピオンの剣道エリートの香織は幼い頃から負け知らずだったが、とある大会で同学年の選手に負けてしまう。その選手を追って剣道の名門・東松学園に入学した香織は、因縁の敵早苗と再会する。誉田哲也原作による痛快エンタテインメント小説「武士道シックスティーン」を映画化。成海璃子、北乃きいによる女子高生が弾ける、剣道ガールズ・ムービー。(「Oricon」データベースより)

武士道シリーズ

武士道シリーズ(2017年08月01日現在)

  1. 武士道シックスティーン
  2. 武士道セブンティーン
  3. 武士道エイティーン
  4. 武士道ジェネレーション

剣道に打ち込む女子高校生を主人公とした王道の青春小説です。

この作家の他の作品にみられるホラーテイストは微塵も無く、空はどこまでも青く澄み渡っている青春世界です。

これはどの作家にも言えることだと思うのですが、本作品は女子高校生が主人公なのにその心理描写などどうしてあんなによく書けているのでしょう。いや、私が女子高生の心裡が分かる筈もないので、書けていると思われると言うべきなのでしょうか。

私は昔ちょっとだけ剣道をかじったこともあり、個人スポーツ(武道)としては剣道が最高のスポーツ(武道)だと思っているのですが、その剣道の辛さ、素晴らしさ、なども含め良く書けているなあ、と感心するばかりです。

剣道というと、藤沢周 の『武曲(むこく) 』という作品
などがあります。アル中コーチ矢田部研吾の人間描写と、現代っ子の高校生羽田融(はだとおる)が剣道にのめり込んでゆく姿を描いた作品です。この作品は綾野剛と村上虹郎というキャストで映画化されるそうです。


他方で、若干猟奇的な描写も入る人気の警察小説である『姫川玲子シリーズ』や『あなたが愛した記憶』のようなノンストップホラーも書くのですから何も言えません。

ストロベリーナイト [TV]

連続ドラマ版「ストロベリーナイト」では描ききれなかった、誉田哲也原作の姫川玲子シリーズがスペシャルドラマとして映像化!それは、あの“雨”の日の後の物語。映画「ストロベリーナイト インビジブルレイン」で描かれる姫川班“最後の事件”の後日譚が5本の短編で描かれる、それぞれ対峙する新たな事件とは…。(「Oricon」データベースより)

2013年1月に土曜プレミアム特別企画として放映された、映画版の後日譚をそれぞれ姫川、菊田、葉山、井岡・日下、勝俣を主人公にオムニバス形式で描いています。

このドラマを見たのが最初でした。思いのほか面白かったので映画も見ようと思い立ったのでした。それまでのドラマも見ればよかったと思ったものです。

ストロベリーナイト [連続ドラマ版]

誉田哲也のベストセラー小説をTVドラマ化!息もつかせぬサスペンスに満ちたストーリーだけではなく、登場人物の悩みや悲しみ、葛藤も深く描く。ノンキャリアで成り上がり系の警視庁捜査一課の女性刑事・姫川玲子を竹内結子、ライバル刑事“ガンテツ”を武田鉄矢、姫川玲子を支える部下を西島秀俊、姫川班の刑事を小出恵介、丸山隆平(関ジャニ∞)など豪華キャストで演じる。DVD-BOX。(「Oricon」データベースより)

2012年1月からフジテレビ系列で放映された連続ドラマ版です。

ストロベリーナイト [TVパイロット版]

美しく強くミステリアスな女刑事を描いたサスペンスドラマ。溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課殺人犯捜査係、唯一の女性係長である姫川玲子警部補は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉“ストロベリーナイト”の驚愕の意味とは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった―。(「Oricon」データベースより)

2010年11月にフジテレビで放映されて『土曜プレミアム』特別企画のスペシャルドラマ版です。

ストロベリーナイト [DVD]

竹内結子主演による人気刑事サスペンスの劇場版。誉田哲也原作の姫川玲子シリーズ「インビジブルレイン」を基に、連続殺人事件の謎を追う女刑事・姫川玲子と、彼女率いる姫川班を待ち受ける最大の試練を描く。共演は西島秀俊、大沢たかおほか。(「キネマ旬報社」データベースより)

映画の予告編を見てレンタルで見るつもりだったのですが、テレビで放映されました。映画の二時間強という時間の制約の中で、予想以上に良くできていました。

映画のタイトルは「ストロベリーナイト」ですが正確にはシリーズ中の「インビジブルレイン」が原作です。映画はより男と女に焦点を当ててあり、大沢たかおの牧田が少々気にならないでは無かったのですが、原作の陰鬱な雰囲気も壊すことなく、竹内結子の演技も光っていて満足出来た映画でした。

ストロベリーナイト

いま注目の作家・誉田哲也の「女性刑事・姫川玲子シリーズ」第1作をコミック化!
全身に無数の切創、ズタズタに切り裂かれた腹部、そしてカッターナイフで
ノドをスッパリ切られた異常な惨殺体が発見された。
警視庁捜査一課殺人犯捜査係主任警部補・姫川玲子率いる姫川班は捜査を続けるうち、同じ手口で惨殺された遺体を発見する。連続殺人事件のカギを握るのは、
インターネット上の謎のサイト『ストロベリーナイト』だった!(Amazon紹介文より)

姫川玲子シリーズ

本『姫川玲子シリーズ』は、女性刑事姫川玲子を主人公とする、ミステリーというよりはサスペンス色の強い作品が多い長編がメインの警察小説です。

作者誉田哲也の作品の中でも登場人物のキャラクター設定がとてもよく、またテンポ良い文章が物語世界に入り込み易い作品で、ベストセラーとなるのも納得のシリーズです。

 

 

主人公姫川玲子は男勝りの性格で、直観に従い班長として菊田和男巡査部長らを始めとする部下の男たちを引っ張って行きます。

また部下たちも、暴走しがちでどことなく危なっかしい姫川玲子をサポートしながら事件を解決していくのです。

ひたすら感覚で犯人を追い詰める姫川は、天敵ともいうべきガンテツこと勝俣健作警部補から、犯人と同じ思考方法をとる姫川は危なっかしいと指摘されたりもしています。

しかし、レイプという悲惨な過去を持つ主人公の姫川は、その過去をトラウマとして抱えながらも自分を支えてくれ、後に殉職してしまった女性警察官を思いながら職務に邁進していくのです。

 

本『姫川玲子シリーズ』ではポイントポイントで人情もののような心の交流をも描きながら物語が進んでいくので、読者としても気楽な気持ちで読み進めることができます。

ただ、猟奇的と言っても良い場面があるのでグロいシーンが駄目な人は少々注意が必要かもしれません。

時には、誉田哲也の他のシリーズ『ジウサーガ』とシンクロする遊びがあったりするのも楽しみの一つです。

 

 

テレビドラマ、また映画も、竹内結子が主演として姫川玲子を演じ、菊田を西島秀俊、井岡を生瀬勝久という同じキャストで作成されていて、個人的にはなかなか良くできていたという印象のドラマでした。

ただ、ガンテツこと勝俣を武田鉄矢が演じていたのは少々イメージ違いかと思っていましたが、見ているうちに武田鉄矢こそがふさわしいと思えてきたのですから、役者さんは大したものです。

 

 

更に、2019年4月からは新たな姫川玲子の物語として『ストロベリーナイト・サーガ』と題したドラマがフジテレビで放映されました。

しかし、キャストが姫川役を二階堂ふみというのはまあいいのですが、個人的には菊田和男をKAT-TUNの亀梨和也が演じるということでしたので、結局見ることもありませんでした。

 

 

なお、これまで『姫川玲子シリーズ』の第五弾として記載していた『感染遊戯』は、『姫川玲子シリーズ』としてはカウントしないこととするそうです。

というのも、「将来的に勝俣健作(かつまたけんさく)を主人公とする作品が刊行された場合、『感染遊戯』は「勝俣健作シリーズの第一作」と紹介されるであろうから」だということです( Book Bang : 参照 )。