月村 了衛

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新刊書

早川書房

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本書『機龍警察 暗黒市場』は、『機龍警察シリーズ[完全版]』第三弾の長編のアクション警察小説です。

前巻の『機龍警察 自爆条項』はライザ・ラードナーの過去が語られましたが、今回はユーリ・オズノフが中心とななっています。

 

警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧知のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染めた。一方、市場に流出した新型機甲兵装が“龍機兵(ドラグーン)”の同型機ではないかとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した―日本とロシア、二つの国をつなぐ警察官の秘められた絆。リアルにしてスペクタクルな“至近未来”警察小説、世界水準を宣言する白熱と興奮の第3弾。(「BOOK」データベースより)

 

武器密売の国際的ブラックマーケットを内偵中であった警視庁組織犯罪対策部の安藤巡査部長が、その死と引き換えに、日本で新型機甲兵装のマーケットが開かれるらしいとの情報をもたらした。

当然、警視庁特捜部が乗り出すことになるが、何故かユーリ・オズノフ元警部は契約解除になっていて、残りの二体で対処することになるのだった。

 

本書『機龍警察 暗黒市場』前半で語られるユーリ・オズノフの物語とは、モスクワ第九十一民警分署刑事捜査分隊操作第一班の物語です。

この班は、腐敗したロシア警察の中でも清廉さを謳われて「最も痩せた犬達」と呼ばれた警察という職務に忠実であろうとする男達で構成されていました。

誰からも慕われた警察官の父を持つユーリにとって、この職場は天命とも言える職場であり、警察官としての自分を最大に生かせる職場でもありました。その職場で起きた悲劇、それが現在まで続いているのです。

後半は現在の日本に戻り、ブラックマーケット壊滅作戦が語られます。この描写は相変わらずに十分な迫力を持って読者に迫ってきます。少々出来過ぎな感じがしないでもありませんが、そうした思いを越えた迫力で物語は展開されるのです。

 

十分に練られたストーリーは綿密に計算された人物造形と併せて物語に深みと厚みを感じさせてくれます。ただ、これまでの三作の中では一番感傷的な物語とも言えます。その点が弱点と思う人もいるかもしれません。

 

しかしながら、物語はそうした疑問点をものともしない筆致で進みます。SF的な設定は単に一つの道具として考えれば、この手の物語が苦手な人でも十分面白いと思ってもらえるでしょう。それほどに力強く、面白い物語です。

[投稿日]2015年04月14日  [最終更新日]2020年8月4日
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