野村絹枝の背中に蠢く大蛇の刺青。艶美な姿に魅了された元軍医・松下研三は、誘われるままに彼女の家に赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にする。それは胴体のない密室殺人だった―。謎が謎を呼ぶ事件を解決するため、怜悧にして華麗なる名探偵・神津恭介が立ち上がる!江戸川乱歩が絶賛したデビュー作であると同時に、神津恭介の初登場作。満を持しての復刊!(「BOOK」データベースより)
作家高木彬光のデビュー作である、長編の推理小説です。
本来、高木彬光といえば探偵神津恭介シリーズを最初にあげるべきなのかもしれません。
でも、正直なところ内容も良く覚えていないので胸を張って紹介できないのです。
ただ、高木彬光の処女作品であり、当然探偵神津恭介のデビューでもあるこの作品は、本格派の推理小説として当時かなりな人気を博しました。
主題が刺青であり作品全体を怪奇趣味で覆ってはいるけども、耽美的な風味は無いところが『本陣殺人事件』等で有名な横溝正史とは異なると思われます。
ちょっと調べると処女作であるがための文章の硬さや、トリックの未熟さ等は目立つけれども、古典として評価する文章が多いようです。