11代家斉将軍の時代。駿州沼里藩江戸屋敷において留守居役を務める深貝文太郎。沼里から江戸に出て5年たったある日、相役の高足惣左衛門が殺人の科で大目付に捕縄される。文太郎は、高足の残した「さんずのかみ」という謎の言葉を手がかりに、真犯人の探索を開始する。保身ばかりで怠惰な上役に無理難題を言われるが、高足の無実を信じる文太郎はそれに負けることなく探索に励む。やがて解決の糸口をつかむが…。
『口入屋用心棒シリーズ』で人気を博している鈴木英治氏の新しい痛快時代小説シリーズ、沼里藩留守居役忠勤控シリーズの第一弾です。
このシリーズは、『口入屋用心棒シリーズ』の主人公湯瀬直之進の郷里である駿州沼里藩の江戸屋敷の留守居役である深貝文太郎を主人公としています。
ある日、高足惣左衛門という文太郎の相役が、町屋の女を殺したとして捕縛されます。文太郎は、高足が残していった「さんずのかみ」という言葉を頼りに真犯人の探索に乗り出すのです。
まだまだシリーズは始まったばかりで、このシリーズがどのような内容を持つものなのか、主人公の性格設定など分からないことばかりです。
しかし、「沼里藩留守居役忠勤控」というシリーズ名でも分かるように、留守居役の深貝文太郎の活躍、それも捕物帳的なミステリータッチの物語だと推測されます。
そして本書では、その予想通りに早速事件は起き、文太郎の探索の様子が語られます。
ただ、クライマックスにおいて思いもよらない展開が待ち受けていて、少々驚きました。その意外な展開がこのシリーズの全体を貫いていく大きな謎として待ちうけているのだと推測できます。
文之介の探索方が少々場当たり的か、などの印象もありますが、今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。