目明しの金之丞ら三人を平然と殺め、江戸有数の大店から大金を強請りとった読売かわせみ屋・庄之助の魔の手は、ついに、南町奉行所・樺山富士太郎にも及び、身を挺して主人を守った中間・珠吉が斬られる。湯瀬直之進、倉田佐之助、米田屋琢ノ介らの必死の探索にもかかわらず、包囲網を突破する庄之助。業を煮やした与力・荒俣土岐之助が打った秘策とは!?大迫力の攻防戦、書き下ろし人気シリーズ四十二弾。(「BOOK」データベースより)
口入屋用心棒シリーズの四十二弾の長編痛快時代小説です。
庄之助が登場してきて三作目になり、いよいよ庄之助との対決が迫ります。
庄之助に命じられた高田兵庫によって富士太郎の身代わりになり斬られた珠吉だったが、いまだ生死の境をさまよっていた。
翌朝、奉行所を出た富士太郎に湯瀬直之進、倉田左之助、米田屋琢ノ介の三人が、玉吉を斬った下手人の探索を手伝わせてくれと言ってきた。
そこで、直之進には想願寺の住職の臨鳴を、左之助には桜源院で見たという一万両の金があるか否かを調べてもらうことにし、琢ノ介には富士太郎の用心棒を頼むことになった。
まずはお吟の不在を確かめた富士太郎は、かわせみ屋にいる庄之助に会いに行き、直之進は、墓暴きの一件を庄之助に知らせたのは想願寺の住職の臨鳴だったことを確認する。
一方、桜源院に忍び込んだ左之助は住職の沢勢の書斎で、沢勢の父親向島の家を手に入れた証文を見つけるが、沢勢に見つかり、宝蔵院流の槍の手練れの沢勢と一線を交え、これを倒すのだった。
いよいよ庄之助との対決となります。
直之進が全く歯が立たないほどの剣の腕を持つ庄之助ですが、この庄之助をどのようにして倒すのか、が気になるところです。
また、直之進と同程度の腕である左之助と庄之助との対決も見どころではあります。
と、本書の見どころを挙げることはできるのですが、実際読み終えてみると、私の好みとは若干ずれた結果に終わりました。
せっかく庄之助という強烈なキャラクターを持ってきたのに、そのキャラクターをうまく生かし切れていない印象に終わってしまったのです。
天下の転覆を目指す庄之助ですが、それにしては計画が雑に過ぎますし、他にも庄之助の異常なまでの強さの理由も今ひとつはっきりとしませんでしたし、直之進との対決も尻すぼみ気味だったのです。
このシリーズも四十巻を超える一大シリーズとなってきました。この後どのような展開になっていくものなのか、大きな期待をもって読み続けたいと思います。