杉本 章子

お狂言師歌吉うきよ暦シリーズ

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路考お粂と謳われた水木歌仙の下で踊りの稽古に励むお吉。十三で「歌吉」の名をいただいて五年、ようやく大名家の奥向きで踊りを披露するお狂言師の一座に加えてもらえることになった矢先、嫉妬した相弟子に小鋸で頬に一生消えない傷をつけられる。そんな折、公儀の隠密より姉弟子を探れという密命が…。(「BOOK」データベースより)

 

お狂言師の娘を主人公とした、歌舞伎の世界を垣間見ることのできる長編の時代推理小説です。

 

本書では「お狂言師」という初めて聞く言葉が出て来ます。作品の中でも説明はしてありますが、ちょっと調べてみると

当時、自由に芝居見物が許されなかった大名の奥方や姫君のために、男子禁制の大奥にあがって、その時々に評判の歌舞伎舞踊をお目にかけるとを本業とする女芸人たちが女狂言師たちでした。

日本舞踊 坂東流 入門案内

という文章がありました。現在の日本舞踊のそもそもの始まりだそうです。

 

主人公歌吉の師匠の三代目水木歌仙も実在の人物であり、コトバンクに次のように記してありました。

美貌の女形瀬川菊之丞の通称路考にちなみ『路考お粂』と評判された江戸美人。

コトバンク 朝日日本歴史人物事典の解説

 

当然、物語は日本舞踊の世界を舞台としています。

同輩の嫉妬のために顔に傷を負わされた主人公の歌吉こと赤松屋のお吉は、一生をお狂言師として生きていくことを決心します。

公儀お小人目付の侍はそんな歌吉に隠密の手伝いを頼むのです。

 

物語は「仮名手本忠臣蔵」の「お軽勘平道行」の稽古の場面から始まります。

お軽勘平の道行という言葉は知っていても舞台は見ていませんし、日本舞踊もほとんど知らない私にとって、本書は少々敷居が高い物語かと危ぶみながら読み進みました。

でも作者の筆は素人にも優しく、知識の無いことは何の問題もありませんでした。

 

代わりに、捕物帖だとの思い込みをもって読見進めていたので、少々中途半端に感じてしまいました。

ただ、捕物帖として読めば今一つと感じたのですが、芸事の世界の物語として見ると、杉本章子という作家の特徴である緻密な考証に基づく物語の展開はとても面白く、結局は惹き込まれてしまいました。

今は直ぐにでも次の作品を読みたいと思っています。

[投稿日]2015年04月13日  [最終更新日]2019年1月20日
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