鎌倉の旅から帰った幹次郎らは、玉藻と正三郎の祝言を数日後に控え、忙しい日常に戻る。麻のための離れ家も着々と完成に近づき、祝いの空気が流れる秋。しかし幹次郎は、吉原が公儀から得た唯一無二の御免状「吉原五箇条遺文」が狙われていると直感していた。襲撃される幹次郎と汀女。張り巡らされる謀略と罠。新吉原遊廓の存続を懸けた戦いが、再び幕を明ける! (「BOOK」データベースより)
吉原裏同心新シリーズの第二弾です。
加門麻と共に行った鎌倉への旅も終り、麻も幹次郎や汀女との土居生活にも慣れてきており、麻のための別棟の建築も進んでいます。再び吉原での日常が始まった幹次郎らでした。
しかしその吉原では、対外的には鎌倉での「吉原五箇条遺文」をめぐる一件が待ち構えており、また吉原の中では麻が薄墨と名乗っていた頃可愛がっていた桜季の問題があって、更には祝い事の玉藻と庄三郎の祝言があり、やるべきことが待ち構えているのです。
そうした中、江戸町にある萬亀楼の長男が絞殺されていたことを知った幹次郎は、南町奉行所定廻り同心の桑平市松に、事件の詳細を調べてもらうのでした。
吉原の「吉原五箇条遺文」に絡んだ事件が起きますが、その事件が子のシリーズでの今後の展開にどのように繋がっていくものか、吉原に敵対する者たちがどのような巨大な勢力につながるのか、など不明なことばかりです。
今後のこの物語に「吉原五箇条遺文」がどのように関わってくるのかも勿論分かりません。しかし、この新しいシリーズの核となって物語を進めていく役割を果たすのではないかと思われます。
また、加門麻の新しい生活がどのように変化していくものかも関心事になると思われます。幹次郎と汀女との共同生活ではあっても、新しい住まいを得ることでもあり、麻の生まれ変わった人生が語られていくことでしょう。
汀女も玉藻の代わりに店を切り盛りしていることでもあり、それなりに忙しい生活を続けています。
彼ら三人の吉原との繋がりは改めて深くなっていくのでしょう。そこに、吉原の存続に関わる事件が起きて、幹次郎の活躍があり、その陰で汀女と麻が関わってくる、そうした流れになるのだろうと普通に考えます。
とはいえ、今のままでは新シリーズになった意味がそれほどには感じられません。ただ、麻が吉原の外に出ただけ、ということにもなりかねません。
新しいシリーズにふさわしい展開を期待したいものです。