懐かしい故人と再会できる場所「アナザー・ヒル」。ジュンは文化人類学の研究のために来たが、多くの人々の目的は死者から「血塗れジャック」事件の犯人を聞きだすことだった。ところがジュンの目の前に鳥居に吊るされた死体が現れる。これは何かの警告か。ジュンは犯人捜しに巻き込まれていく―。(上巻 : 「BOOK」データベースより)
聖地にいる173人全員に殺人容疑が降りかかる。嘘を許さぬ古来の儀式「ガッチ」を経ても犯人は見つからない。途方にくれるジュンの前に、「血塗れジャック」の被害者たちが現れて証言を始めた。真実を知るために、ジュンたちは聖地の地下へ向かうが…。(「BOOK」データベースより)
ホラー小説の雰囲気をまとったダークファンタジーと呼べばいいのでしょうか。奇妙な味わいのある長編小説です。
そもそも「ネクロポリス」とは、巨大な墓地または埋葬場所を言うそうです(ウィキペディア : 参照)。
本書は、そのタイトルの言葉のとおりに、死者がよみがえると言われる場所「アナザー・ヒル」をきっかけに展開されるミステリー小説でもあります。
「夜のピクニック」で物書きの想像力の豊かさに驚かされたのだけれど、この本を読んでその事実を改めて思い知らされました。
「夜のピクニック」の爽やかさとは一変して、その対極にある「死」をモチーフにしてこうした物語を紡ぎだす力量には恐れ入るばかりです。
ただ、物語としての面白さは「夜のピクニック」に比べると若干劣る印象です。それは発生するイベントの差なのかもしれませんし、終盤の展開に若干首をひねる箇所も見られることも一因なのかもしれません。
どちらにしても、私の本の読み方は、その本を読んでいる時間が楽しいひと時と言えるか、に尽きるのですが、本書はその楽しさが若干ですが、劣ると感じられたのです。
とはいえ、本書のユニークさ、面白さは間違いのないところです。