『女刑事音道貴子シリーズ』とは
『女刑事音道貴子シリーズ』とは、文字通り刑事である音道貴子という女性を主人公にした警察小説です。
男性社会である警察組織の中で生き抜く一人の女性を、そのプライベートも含めた日常を丹念に描き出した読み応えのあるミステリーシリーズです。
『女刑事音道貴子シリーズ』の作品
『女刑事音道貴子シリーズ』について
『女刑事音道貴子シリーズ』とは、刑事である音道貴子という女性を主人公にした警察小説です。
警察小説のなかでも、例えば高村薫の『マークスの山』(新潮文庫 上下二巻)のように、捜査の様子を緻密に描写してあるリアルな作品だと言えるでしょう。
このシリーズでは、物語は長編作品では起こった事件を中心に展開し、短編集では音道貴子という女性のプライベートな側面を中心に置いている、と一応は言えるようです。
とはいっても、長編も短編も共に主人公の内心をも詳細に描き出すことで音道貴子という女性刑事の人となりを浮かび上がらせていることに変わりはありません。
ただ、短編のほうがよりプライベートな描写に重きが置かれているという印象なのです。
本シリーズに関しては、サスペンスミステリーとして評価されるとともに、ハードボイルド作品としても分類されているようです。
「ハードボイルド」というジャンルの本来の意味からすると、「簡潔な客観的行動描写で主人公の内面を表現し」た作品( ウィキペディア : 参照 )ということになるのでしょうが、本シリーズは決して主人公の行動が客観的に描写されているわけではありません。
しかし、「ハードボイルド」という言葉は多様な意味を持つようになり、自分なりのルールを堅持し、タフな生き方をする主人公の生き方を指しても使われているようです。
その点で、男性社会のなかで様々な暴言、中傷に耐えながらも結果を残していく本書の主人公の生き方はまさにハードボイルドだ、という評価も生まれていると思われます。
本シリーズの主人公は音道貴子という女性刑事であり、シリーズ第一作の『凍える牙』という長編作品では警視庁刑事部第三機動捜査隊立川分駐所に勤務しています。
この時に主人公の相棒として登場してきたのが警視庁立川中央署刑事課強行犯捜査係の部長刑事の滝沢保です。ずんぐりした中年男であり、妻は三人の子を置いたままに離婚しています。
この滝沢は音道貴子が異動した後も何かと本シリーズに顔を出し続けます。
ちなみに、この『凍える牙』は第115回直木賞を受賞しており、かなり読みごたえがありました。
また、シリーズ第五作の『嗤う闇』では音道貴子は巡査部長昇進に伴い、隅田川東警察署刑事課へと異動になっています。
それまでの機動捜査隊員として事件の初動捜査に当たっていた立場から、いわゆる所轄署の刑事となっているのです。
そしてここでの音道の相棒として京都大学農学部出身のノンキャリアの玉城警部補が登場しています。
それに、同じ女性として何か時をかけてくれている薮内奈苗という鑑識係員やかなり大柄で恰幅の良い盗犯担当の金井警部が登場します。
しかし、このシリーズは読みごたえのあるシリーズとして、2009年1月に出版された『風の墓碑銘(エピタフ)』(新潮文庫 上下二巻)を最後として刊行されていません。
できれば続けてほしいとは思いますが、作家としてはあまり一つのシリーズに固執するのもよくないことなのかもしれません。
いずれにせよ、シリーズの残りをゆっくりと読み終えたいと思っています。
ちなみに、シリーズ第一作の『凍える牙』は、NHK版は2001年に天海祐希主演で、テレビ朝日版は2010年に木村佳乃の主演でドラマ化されており、更には韓国でソン・ガンホを主役に映画化されています。
またシリーズ第三作『鎖』は、2016年に小池栄子主演でBSテレ東でドラマ化されています。