日露戦争の直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山とおそれられた北アルプスの劔岳。測量官・柴崎芳太郎はその山頂に三角点埋設の至上命令を受ける。
山岳信仰から剱岳を畏怖する地元住民の反発、ガレ場だらけの切り立った尾根と悪天候・雪崩などの厳しい自然環境、日本山岳会との登頂争い、未発達な測量技術と登山装備などさまざまな困難と戦いながら山頂に挑んだ柴崎一行の苦闘の姿をえがく、新田次郎「山岳小説」の白眉。
巻末に著者自身による劔岳登山の記「越中劔岳を見詰めながら」を付す
木村大作監督による映画化作品(浅野忠信、香川照之、役所広司出演)は第33回の日本アカデミー賞を受賞した。(「内容紹介」より)
日露戦争の直後、北アルプスの劔岳の頂上に天候観測のための三角点を埋設すべく命を懸けた測量官・柴崎芳太郎らを描いた長編の山岳小説です。
「富士山頂」もそうなのですが、まさに気象庁に勤務していた新田次郎という作家ならではの作品でしょう。
映画化もされているのでご存知の方も多いかと思いますが、明治末期の日本地図作成の一環としてなされた、北アルプス・立山連峰の劔岳山頂に、測量に必要な三角点を敷設した歴史的事実を小説化したものです。
現代のようなすすんだ登山設備も無い中、測量技師・柴崎芳太郎を始めとする技師たちが成し遂げたその偉業にはただ敬服するばかりです。
小説としての面白さは言うまでもありません。是非読むべきです。