新田 次郎

イラスト1
Pocket


本書の主人公竹井岳彦は18歳のときの八ヶ岳での遭難で両足先の大半を失います。しかし、持ち前の負けん気からその不自由な足に登山靴を履き、マッターホルン北壁に挑戦するほどの世界有数のクライマーへと成長していくのです。

この主人公の生きざまがすごい。少し歩けば出血するというその足で、それも世界有数の山に登ろうというのですから言葉がありません。ましてや、全くのフィクションではなく、モデルとなった実在する生身の人がいての物語なのです。

この作家のどの本でもそうなのですが、本書でもマッターホルン北壁の登攀シーンの描写はその迫力に本を置くことができなかったことを覚えています。

本書でツェルマットやシャモニーなどのスイスの町の名前を覚え、以後スイスを紹介するテレビ番組等を見る度にの本を思い出したものです。

本書の主人公竹井岳彦は実在のクライマー芳野満彦氏がモデルらしいのですが、その芳野氏は2012年2月5日に逝去されたそうです。

是非一読ください。

[投稿日]2015年03月23日  [最終更新日]2015年3月23日
Pocket

おすすめの小説

山を舞台にした小説

春を背負って ( 笹本 稜平 )
山小屋を舞台にした物語で、山小屋を訪れる様々な人々の人間ドラマが描かれています。他にも多数の山岳小説を書かれています。
神々の山嶺 ( 夢枕 獏 )
実在の人物をモデルにした主人公羽生丈二のエベレスト冬季単独登攀が描かれています。
氷壁 ( 井上 靖 )
切れるはずのないナイロンザイルが切れた・・・。映画化もされた名作です。
密閉山脈 ( 森村 誠一 )
山を舞台にしたミステリーそのものです。
北壁の死闘 ( ボブ・ラングレー )
山岳冒険小説の傑作と言われています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です