本書の主人公竹井岳彦は18歳のときの八ヶ岳での遭難で両足先の大半を失います。しかし、持ち前の負けん気からその不自由な足に登山靴を履き、マッターホルン北壁に挑戦するほどの世界有数のクライマーへと成長していくのです。
この主人公の生きざまがすごい。少し歩けば出血するというその足で、それも世界有数の山に登ろうというのですから言葉がありません。ましてや、全くのフィクションではなく、モデルとなった実在する生身の人がいての物語なのです。
この作家のどの本でもそうなのですが、本書でもマッターホルン北壁の登攀シーンの描写はその迫力に本を置くことができなかったことを覚えています。
本書でツェルマットやシャモニーなどのスイスの町の名前を覚え、以後スイスを紹介するテレビ番組等を見る度にの本を思い出したものです。
本書の主人公竹井岳彦は実在のクライマー芳野満彦氏がモデルらしいのですが、その芳野氏は2012年2月5日に逝去されたそうです。
是非一読ください。