『探偵小石は恋しない』とは
本書『探偵小石は恋しない』は2025年9月に小学館から328頁のソフトカバーで刊行された、長編のミステリ小説です。
軽いタッチのミステリーで、読み進めるのも難しくはないのですが、私の好みではありませんでした。
『探偵小石は恋しない』の簡単なあらすじ
「さて。ここからは名探偵の時間ということで」ミステリオタクの探偵・小石は、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見ているが、事務所へ届く依頼は9割9分が色恋調査。ところが事件は、思いもよらないところで発生していてー。そのひと言で、世界が一変する。驚愕体験の本格ミステリ!(「BOOK」データベースより)
『探偵小石は恋しない』の感想
本書『探偵小石は恋しない』は2026年本屋大賞の八位になった長編のミステリ小説ですが、残念ながら私の好みとは異なる作品でした。
とても読みやすい文章で、探偵と事務員との会話などを読んでいると軽く読める、しかし好みではない青春ミステリーのような作品だとの思いで読み進めていました。
本書はミステリー、それも本格派ミステリーと呼べる作品なのでしょうが、途中まではどうにも物語の作り方に違和感を感じてしまったのです。
それは、一つには主役たちのキャラクターの印象が軽すぎることですし、何よりも第一章終了時の謎解きに対する不満足感でもありました。
つまりは、本屋大賞の候補作になっている作品にしては各章の内容があまり練られた作品とは感じられなかったのです。
登場人物も探偵役の小石のキャラクターも軽さを感じさせるのはいいのですが、それ以上のものはありません。小石探偵事務所調査員の蓮杖も、派手なギャルメイクの事務員バイトの雛未も今一つ魅力を感じませんでした。
第一章は佐藤澪という十八歳の高校生からの依頼で、父親の浮気調査を依頼してきたものです。ただ、小石たちはその依頼に隠された謎を明快に明らかにしていきます。
この後、第二章、第三章と全五章の物語は続くのですが、そのそれぞれで謎解きが軽く、どうにも感情移入できないのです。
ただ、本屋大賞の候補作となっている以上、このまま得終わるはずはない、というその一点で読み続けたのです。
確かに、読了してみると本書全体としてすべてが計算の上に成り立っているのはよくわかりました。当初から読者をミスリードするために構成されていたために全体として不自然としか言えないものになったのでしょう。
ただ、こう思うのは私があまり本格派の推理小説を好んでいないからだと思われます。
本屋大賞の候補作になるほどの作品というのは、それだけ支持する読者が多いのは間違いのないことです。
読了してみると、客観的にみても各章のあり方が何となく半端に感じたのも計算なのでしょうし、最終的にいわゆる新本格派(?)のミステリーというべき作品として成立しているのはさすがだと思います。
とはいえ、私の好みでないのは変わりません。主人公の小石のキャラクターがファンタジックなものであることも、物語の進行が小さな社会で完結していることも含めてあまりにこじんまりとしすぎているのです。
本書には続編も出るようですが、多分読まないだろうと思います。