水田 勁

紀之屋玉吉残夢録シリーズ

イラスト1
Pocket

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは 江戸ながれ人 紀之屋玉吉残夢録 (双葉文庫) [ 水田勁 ] へ。


本書『江戸ながれ人』は、紀之屋玉吉残夢録シリーズの第四弾となる長編の痛快時代小説です。

巻を進めるごとにハードボイルド色が強くなってきた本『紀之屋玉吉残夢録シリーズ』ですが、本書になっても前巻ほどではないにしろ、やはりハードボイルドでした。

 

出くわした火事で、焼け出された美女を助けた深川の幇間・玉吉。焼け跡からは、何者かに斬殺された二つの死体が見つかる。詳しい事情は話せないが帰るところがないと泣く女を放っておくことができず、玉吉は長屋に匿うことに。だが、秘密を抱えた女に再び魔の手が迫る。調べを進める玉吉はやがて、名家の存亡に関わるとんでもない事実を知ることになるのだった―。元御家人の太鼓持ちが颯爽と闇を討つ!(「BOOK」データベースより)

 

玉吉らが居合わせた火事場で殺されていた侍の身分が明らかになってきますが、事件の背景を探っていた玉吉も侍たちに襲われたりと、謎解きの過程での玉吉の活躍が描かれます。

ただ、幇間という設定が本書でも意味をなくしています。せっかくユニークな設定を設けているのですから、もう少し幇間という職業を生かした筋立てを見せてもらいたい気もします。

 

本書『江戸ながれ人』では特に終盤に作者の力量が現れているようです。

“みえ”という拾われた女のキャラクターが次第に明確になってくるのも面白いのですが、新たに玉吉の過去を知る人物が登場して場面を盛り上げます。

ここらの“みえ”という名の女や新しい登場人物の描き方が理屈っぽくなく、ざっくりと断定されていて実に小気味良いのです。

立ち回りの場面の調子の良さも含めて気持ち良く読めました。というよりも私個人の好みに合致していたといった方が良いのかもしれません。

今後の展開が楽しみなシリーズです。

 

と、ここまでは以前書いていたのですが、2014年7月に本書『江戸ながれ人』が出版されて以来、続編は書かれていません。残念です。

[投稿日]2015年04月20日  [最終更新日]2020年7月23日
Pocket

おすすめの小説

おすすめの痛快時代小説

剣客商売 ( 池波 正太郎 )
老剣客の秋山小兵衛を中心として、後添いのおはるや息子の大治郎、その妻女剣客の佐々木三冬らが活躍する、池波正太郎の代表作の一つと言われる痛快時代小説です。
獄医立花登手控え ( 藤沢周平 )
羽後亀沢藩の医学所で医学を修め、叔父小牧玄庵を頼り、三年前に江戸に出てきた二十二歳の若者の立花登を主人公とする、連作の短編時代小説集です。叔父の代診で牢屋敷に通うなかで、牢内の様々な科人と触れ合い人間的にも成長していく登の姿が描かれています。
軍鶏侍シリーズ ( 野口 卓 )
デビュー作の軍鶏侍は、藤沢周平作品を思わせる作風で、非常に読みやすく、当初から高い評価を受けています。
酔いどれ小籐次シリーズ ( 佐伯泰英 )
風采の上がらない身の丈五尺一寸の五十男の、しかしながら来島水軍流遣い手である赤目小籐次が、旧主の恥をそそぐために、単身で大名四藩に喧嘩を売る、爽快感満載の痛快活劇時代小説です。
羽州ぼろ鳶組シリーズ ( 今村 翔吾 )
江戸の火消しを主人公に、「一度輝きを喪った者たちの再起と再生」を描いた長編の痛快時代小説です。かつて江戸随一の火消として、"火喰鳥"の名を馳せた男・松永源吾。しかし、ある一件の火事をきっかけに、定火消を辞し浪人として不遇をかこつ日々を送っていた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です