川村 元気

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8番出口』とは

本書『8番出口』は、2025年07月に水鈴社から176頁の文庫として出版された、長編のエンターテインメント小説です。

ゲーム版が映画化と同時に小説化されたものだそうで、本書の最後には「この小説には、映画における重大な秘密が含まれています」という一文が記してありました。

8番出口』の簡単なあらすじ

小説『8番出口』は、映画の監督と脚本を務めた川村元気氏による書き下ろし。『告白』『悪人』『君の名は。』『怪物』などの企画・プロデュースを始め、自身の小説をみずから監督した『百花』など、数々の世界的ヒット映画を製作。小説家としても35の国と地域で翻訳され累計270万部を突破した『世界から猫が消えたなら』や『億男』『四月になれば彼女は』『神曲』『私の馬』など話題作を発表。映画と小説で、数々のヒット作を生み出してきた氏による最新作です。
 地下通路という閉鎖的な空間のなかで、行くか引き返すかの無限の2択を繰り返すというゲームをもとに、驚嘆さえ覚える深みと広がりでその世界を解釈し物語を生み出した川村氏。人生観、死生観、現代人に共通する罪の意識を、読むもの観るものに深く突きつけます。内容紹介(JPROより 抜粋)

8番出口』の感想

本書『8番出口』は、単に地下通路を脱出するために出口である8番出口を求めてひたすら歩くSF小説的な長編のエンターテインメント小説です。

本書の最後には「この小説には、映画における重大な秘密が含まれています」という一文が記してありました。

私は「8番出口」というゲームは遊んだことがなく、もちろん映画もまだ見ていません。それなのに小説版を先に読んでいいものか悩みましたが、好奇心が勝ちました。

その結果、端的に言って期待とはちょっと異なりましたがこれはこれで面白く読んだ作品だったと言えます。

 

しかし、まだ映画を見ていないので、もしかしたらやはり本書を読まないほうがよかったかも、と思う可能性は十分に残っています。

本書が映画の構成をどれくらい取り込んであるのか、著者が映画版の監督と脚本も担当しているし、本書の最後の言葉もあるので、多分ネタバレ的になっているのでしょう。

しかしながら、映画未見の人たちを落胆させるようなことはしないだろうと勝手に決めるけて読んだので、もしネタバレをしていたとしてもそれは自己責任ですからしょうがありません。

事実、先に書いたように、本書の最後で「この小説には、映画における重大な秘密が含まれています」という一文が記してありました。できれば、こうした情報はもっと早く知らせてほしいものです。

でも、そうすればこの本は売れないでしょうから、難しいところだとは思います。

 

ゲームや映画、そして本書の主人公は恋人のもとへ行くために地下通路に入りますが、この地下通路では同じ路をループするだけで一向に出口に近づけません。

ただ、その通路には「ご案内」という看板があり、そこには「異変を見逃さないこと」から始まる四つの決まりが記してありました。

つまり、異変を見逃さず、異変があれば引き返し、なければ引き返さないで、8番出口から外に出ることを要求されていたのです。

それ以外、「異変」とは何か、毎回すれ違うおじさんは何者なのかなど、他には何も情報がないのです。

 

そもそも、「8番出口」というゲームは2023年に制作され、累計180万ダウンロードを記録した世界的大ヒットゲームです。

そのゲームの世界的なヒットを受けて小説と映画が刊行、公開されることになったそうです( 水鈴社 : 参照 )。

その結果、映画はかなりのヒットを見せているそうですが、小説版はあまり話を聞きません。

やはり、地下通路での無限ループやその通路に出てくる無表情なおじさんなど視覚的な要素が強い作品ということもあるのかもしれません。

その証拠に、と言っていいかはわかりませんが、小説版でも多分ですが映画版の映像が多く使われています。

 

このゲームに関しては、「人生観、死生観、現代人に共通する罪の意識を、読むもの観るものに深く突きつけます。」との文言がありました( 水鈴社 : 参照 )。

でも、個人的には、この話から人生観や死生観までをも問われるか疑問はあります。

この文言は、ループ構造から脱出する行為そのものが言われているのでしょうが、もしかしたら主人公の青年とその恋人との間のことを言っているのでしょうか。よくわかりません。

 

本書は話として面白いのは面白いのですが、この物語に関しては視覚優先で映像が先のほうがいいという印象は残りました。

とにかく、映画は前提知識はないままに見たいという人は、本書を読むのは映画を見てからのほうがいいのではないでしょうか。

そこは個人的好みでもありますが、読む場合は覚悟の上で読んだ方がいいと思います。

[投稿日]2026年04月09日  [最終更新日]2026年4月9日

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