『コーヒーが冷めないうちにシリーズ』とは
本『コーヒーが冷めないうちにシリーズ』は、過去に戻ることができる座席がある、とある喫茶店を舞台にした連作のファンタジー作品です。
告げることができなかった思いを主軸にした作品だけに、人との別れが前提となっていて、当然ですが切なさに満ちた物語になっています。
『コーヒーが冷めないうちにシリーズ』の作品
コーヒーが冷めないうちにシリーズ(2025年05月28日現在)
- さよならも言えないうちに
- やさしさを忘れぬうちに
- 愛しさに気づかぬうちに
『コーヒーが冷めないうちにシリーズ』について
本『コーヒーが冷めないうちにシリーズ』は、過去に戻ることができるという座席がある喫茶店を舞台にした物語が収められています。
自分の思いを伝えることができないままだったり、相手からも伝えられることがないままに永遠の別れをしなければならなかった方も少なからずいるのではないでしょうか。
そうした失った機会が再び与えられるかもしれない場所が、本書の舞台の喫茶「フニクリフニクラ」です。
しかし、過去に戻るためには非常にめんどくさいルールがありました。
そのルールとは、
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいるし、その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
というものでした。
このルールを聞かされ、過去の改変もできないのならば過去に戻る意味はないと、あきらめて帰る人が多いのだそうです。
またシリーズが進むにつれ、上記の条件だけではなく、さらに細かなルールもあることが明らかになっていきます。
例えば、「ネコショカ」というサイトでは以下のようにまとめてありました。(勝手に引用させてもらっています。)
七、コーヒーが冷めてしまっても飲み干さなかった場合は、その時間に取り残され幽霊となる。
八、過去だけでなく未来にもいくことが出来る。但し未来は不確定であり、望んだ人物に必ず再会できるとは限らない
九、過去に戻れるコーヒーを淹れることが出来るのは時田家の女だけである
十、妊娠した子供が女児である時点で時田家の女はその力を失う
これまでも、タイムスリップものの小説は多くの作品があります。
まず忘れてならないのは、R・A・ハインラインの『夏への扉』という作品であり、古典中の古典です。
日本のロマンチックSF小説で言えば、わが郷土熊本の作家である梶尾真治の『美亜へ贈る真珠』という作品があります。ごく初期の作品で、私が若い頃に読んで一発でファンになった作品です。
また、死者に会う、という話では辻村深月の『ツナグシリーズ』が思い出されます。一生に一度だけの死者との再会を叶える使者「ツナグ」をめぐる物語です。
また、有村架純主演で、シリーズ第一弾『コーヒーが冷めないうちに』と、第二弾『この嘘がばれないうちに』をもとに、石田ゆり子、薬師丸ひろ子、吉田羊、松重豊といった役者さんたちがわきを固めで映画化されています。