金子 成人

若旦那道中双六シリーズ

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四日市宿で伊佐蔵の意外な正体を知ってしまった巳之吉。自分を子供扱いした祖父の儀右衛門に怒り心頭の巳之吉は、東海道の旅を放り出し伊勢を目指す。その途上、蝦夷から来た二人の客を伊勢詣に連れていくという大坂の海産物問屋『北海屋』の手代と知り合うが、辿り着いた伊勢の地で、蝦夷の二人が行方知れずになり―。愛嬌たっぷりの若旦那が繰り広げる、笑いと涙の珍道中!時代劇界の超大物脚本家が贈る人気シリーズ第四弾!!(「BOOK」データベースより)

 

若旦那道中双六シリーズの第四巻目の長編人情小説です。

前巻『べらぼうめ!』で、京を目指す巳之吉を陰から助けてきた伊左蔵が、実は「渡海屋」の先代儀衛門の指示を受けた子守役であったことを知った巳之吉は、京への旅をつづける意欲をなくし、伊勢へと方向転換をするのでした。

 


 

清吉という男の連れの急病の蝦夷人のために持っていた薬を分け、そのとき言われた伊勢国安濃郡の「津」にある「奈良屋」という旅籠で彼らを待つことになります。しかし、その宿では盗人に間違われたり、と散々な目に逢う巳之吉でした(>第一話 奉納金泥棒)。

その後、たどり着いた伊勢で知り合った江戸深川にいた庄助という男が居候しているお房という女の家に泊まる巳之吉です。翌日、伊勢の内宮で連れの蝦夷人を探す清吉と再会した巳之吉は、旅の途中で聞いた話から蝦夷人を探し出し、これを救い出すのでした(第二話 庄助饅頭)。

清吉らと別れた巳之吉は、伊勢内宮で女衒に連れていかれそうな娘を助けます。しかし巳之吉はそれが騙りであったことに気付くのでした(第三話 伊勢音頭)。

やっと伊勢を離れた巳之吉は再び伊勢路を京へと向かいます。その後、騙りの一味の悪事を暴いた巳之吉は、その一味に捕まってしまうのでした(第四話 雲助峠)。

一方、江戸では巳之吉の帰りを待つお千代が巳之吉の仲間になにかと面倒をかけているのでした。

 

前巻『べらぼうめ!-若旦那道中双六(3)』についての項で、「はっきりしないと思われていたこの物語の色が、その漠然とした色こそが持ち味だと感じてきた」と書きました。

でも、その「漠然とした色」も二巻と続くとやはり何となくそれなりの刺激が欲しくなるようです。

それは、なにもヒーローが活躍する活劇や剣戟でなくてもいいのです。人情ものとして読み手の心に残る話でも、爆笑もののコミカルな話でも、ほかの何かでも構いません。

 

前巻でそれなりに本シリーズの特色を捕らえようと思ったのですが、やはり私の嗜好とことなる路線としか言いようがありません。

本シリーズも残りはあと一巻です。なんとか最後まで読み終えようと思います。

[投稿日]2020年03月06日  [最終更新日]2020年3月6日
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