『ブラック・ショーマンシリーズ』とは
本『ブラック・ショーマンシリーズ』は、あるマジシャンを探偵役とするミステリーシリーズで、第一弾作品が2020年11月に光文社から刊行されています。
東野圭吾の作品の中では謎解き重視のシリーズであって、社会性を抑えたタッチのシリーズとなっています。
『ブラック・ショーマンシリーズ』の作品
ブラック・ショーマンシリーズ(2024年7月28日現在)
『ブラック・ショーマンシリーズ』について
『ブラック・ショーマンシリーズ』は、かつてサムライ・ゼンという名前でアメリカでかなり人気を博したマジシャンだった神尾武史という人物を探偵役とするミステリー作品です。
謎解き重視のシリーズであって、東野圭吾の作品としては社会性を抑えたタッチのシリーズとなっています。
本シリーズの主人公としては、一応は探偵役である神尾武史の姪の神尾真世という女性がいます。
この神尾真世は不動産会社でマンションのリフォームを手掛ける部門に勤務し、同じ会社の先輩である中条健太という男性との結婚を控えている女性です。
先に「一応は」と書いたのは、この女性はいわば狂言回しであり、物語で提起されている謎を解明する探偵役は先に述べた神尾武史というマジシャンだからです。
特に第一弾の『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』で発生する事件は、神尾真世の父親神尾英一が殺されるという事件であり、まさに神尾真世が被害者の娘として物語の中心になります。
そこに何年も音信不通だった叔父の神尾武史が現れ、事件の謎をとき、自分の兄を殺した犯人を見つけるという流れになっているのです。
第二弾の『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』は短編集であって、この神尾真世自身が持ってくる話や、神尾武史の店を訪れる客の抱える問題を解決するというのが基本的な流れです。
本シリーズのようなマジシャンが登場するミステリーと言えば、少し前の作品になりますが泡坂妻夫の『11枚のとらんぷ』という作品があります。
もう三、四十年も前に読んだ作品なので内容は覚えてはいないのですが、ただそのマジックを駆使した内容に驚いたという記憶だけが残っているほどの作品であり、作家さんです。
この泡坂妻夫という名前は杉井光の『世界でいちばん透きとおった物語』を読んだときにも、献辞の中で挙げられていた名前であって、マジックをテーマにしている作品では避けては通れない名前だと思います。
そこでも挙がっていた作品が『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』という作品で、ミステリーの内容とは別に驚きが待っていた作品でした。
本『ブラック・ショーマンシリーズ』は、2024年7月28日現在までは第二弾までしか出版されていませんが、今後続編を期待したいシリーズです。