花村 萬月

武蔵シリーズ

イラスト1
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鎖鎌、槍、そして居合の遣い手。つわものが揃う山落に三十人抜きを挑んだ弁之助は、七人目で屈してしまう。「弁之助に欠けているものは、あえかとでもいうべきもの」そう指摘され、山深い彼らの集落で画を学ぶことに。里に戻ると今度は義父から、道林坊という住職に画の教えを受けるよう促される。果たして現れたのは見事なまでの陪堂坊主。訊けば人を殺したことがあるという。躍起になって剣術指南を請う弁之助だが―。若き日の武蔵こと弁之助が、血しぶきの先に見たものとは。傑作大河小説、衝撃の第二巻。(「BOOK」データベースより)

 

花村萬月が新しい武蔵像を描くシリーズ第二弾の長編の時代小説です。

 

前巻で、山賊襲いますが逆に叩きのめされてしまい、武蔵の養父の武仁の知り合いだった山賊達の仲間になってしまいます。

その後里に戻った弁之助は、道林坊という弁之助の母方の伯父の住職のもとへと画を習いに行くことになります。その道林坊と共に気楽に京へ向かいますが、その途中佐々木小次郎という若者と出会うのでした。

 

今回も前巻同様に濡れ場に満ちています。弁之助も小次郎も、道林坊の京への途次に説教をうけた女と共に居り、その女を抱いてばかりいます。

これまで読んだこの作家の作品を見る限り、花村萬月という作家は“性”に重きを置いて人間を見ているようです。

本書は弁之助と道林坊との小旅行を中心として描いてあり、途中で様々な出会いがあります。そして、禅問答のような会話が続きます。どうかすると言葉遊びではないかとすら思える程です。

その上で物語は新たな展開を見せていきます。佐々木小次郎との出会いや、弁之助の初めての人殺しなど、それなりの出来事が起きているのです。

 

しかし、どうしても説教くさい印象はあります。武蔵の成長譚なので、ある程度は仕方のないことなのでしょう。

これまでの武蔵とはまるで異なる宮本武蔵の物語です。今後の展開に期待したいところです。

[投稿日]2015年04月16日  [最終更新日]2019年3月21日
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