舞台はブラジル東北部の町エクルウ。この町では、アンドラーデ家とビーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争を繰り返している。ある日、アンドラーデ家の息子・フェルナンとビーステルフェルト家の娘・カロリーナが、駆け落ちする。その捜索を依頼された謎の日本人・山猫。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した、山猫による血で血を洗う追跡劇が始まる。冷酷非道な山猫の正体と思惑、そして結末に明らかにされる衝撃の事実とは…?冒険小説の第一人者が描く、手に汗握る怒涛のストーリー。究極のエンタテイメント小説が復刊(「BOOK」データベースより)
名作といわれる長編の冒険小説です。
舞台はブラジルのエクルウという田舎町。エクルウでは抗争中の2つの家の息子と娘が駆け落ちをし、「山猫」と名乗る日本人が追跡者として雇われることとなる。
エクルウでバーテンダーをしていた日本人の「俺」は「山猫」の通訳兼助手となり、「山猫」の語り部として共に行動することになるのだった。
黒沢明の「用心棒」のような設定のアクション小説で、第3回日本冒険小説協会大賞と第6回吉川英治文学新人賞を受賞しています。
本作『山猫の夏』と『神話の果て』『伝説なき地』とで南米三部作と呼ばれています。(下掲の二冊はKindl版です)
本作『山猫の夏』はこの作家の初期作品のうちの一冊ですが、舞台設定や登場人物の書き込みは情報豊富で、なお且つ痛快さを持っています。
軽く読める本ではありませんが、いわゆるライトノベル好きな人にも読み易い本かもしれません。30年近くも前の作品ですが、古さは感じないと思います。