堂場 瞬一

イラスト1

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』とは

架空の「警視庁犯罪被害者支援課」という部門を舞台にした、登場人物のキャラクターもそれなりに立っている、普通に面白く読んだ警察小説シリーズです。

堂場瞬一の作品らしく、緻密な描写と、その緻密さに裏付けられたリアリティはさすがの作品でした。

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』の作品

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ(2026年06月13日現在)

  1. 壊れる心
  2. 邪心
  3. 二度泣いた少女
  4. 身代わりの空(上・下)
  1. 影の守護者
  2. 不信の鎖
  3. 空白の家族
  4. チェンジ

警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』について

本『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』の舞台になっている「犯罪被害者支援課」という部署は、犯罪の被害者の傷を負った心を手当てし、その傷が癒える手助けをしようとする架空の組織です。

でも、捜査一課などの直接に捜査を担当している部署からは、被害者のケアを重視するところから捜査を妨害しかねないとして邪魔者扱いされている存在でもあります。

登場人物
・村野秋生  : 元警視庁捜査一課所属支援課員
・松木優里  : 村野の学生時代からの友人で力強い同僚支援課員
・安藤梓   : シリーズ第一作『壊れる心』での登場時は江東署初期支援員
・長住光太郎 : 支援課の地雷になるかもしれない支援課員
・本橋怜治  : 元捜査一課管理官だった支援課課長
・芦田浩輔  : 支援課係長。元盗犯担当捜査三課のベテラン刑事。
・西原愛   : 「公益社団法人東京被害者センター」勤務の村野秋生の元恋人。

ちなみに、本シリーズの村野を始めとする登場人物は、その多くが本シリーズの次シーズンにあたる『警視庁総合支援課シリーズ』でも再度登場してきます。

 

この「支援課」という部門について著者の著者の堂場瞬一は林家正蔵との「ミステリがなければ生きていけない」という対談の中で、「他人の痛みはわからないということを前提にしながら、それでも何とかしてあげたい、と願って動く仕事」だと書いておられます。

同時に同じ個所で、この部署は「架空の部署ではあるけれども、現実に似たような部署は存在する」と書いておられます。

そして、そこには「民間支援団体である『被害者支援センター』は、全国、各都道府県にあります。」という文言もあります( 犯罪被害者を支援するしくみ : 参照 )。

現実には、行政では2004年に犯罪被害者基本法が成立し、各都道府県の警察や弁護士会、法テラスなどの組織も整備され、多方面での(直接的及び間接的な)犯罪被害者支援の制度が整いつつあるといいます。

こうしたことを受け、現実には警察庁や警視庁、各県警、それに各弁護士会や民間にも犯罪被害者の救済の役割を担う部門が設けられているようです。

 

本『警視庁犯罪被害者支援課シリーズ』は、元警視庁捜査一課に属していた村野秋生という犯罪被害者支援課員が主人公となっていて、この村野の一人称視点で進められています。

この「支援課」の支援課員としては、元捜査一課管理官だった課長の本橋怜治や係長の芦田浩輔、それに支援課の地雷になるかもしれない長住光太郎らがいます。

そして、主役の村野の学生時代からの友人で力強い同僚である松木優里がおり、また支援課要員として育てていこうとしている、登場時は江東署の初期支援員であった安藤梓という女性がいます。

加えて、村野の元恋人として村野と共に遭った交通事故で車椅子生活となった西原愛という女性を忘れてはなりません。この女性は、民間の被害者支援センターでボランティアとして活動しています。

この交通事故により村野は今も痛みが残る膝を抱えることになり、愛は村野をかばったこともあって車いす生活になります。そして、その事故が原因で二人は別れることになったのです。

 

ともあれ、本シリーズはこれまでにない「支援員」という職務を担った警察官を主役にしたシリーズです。

被害者に寄り添う支援員の苦悩を描きながら、事件の真相を暴き出す支援課のメンバーの活躍は読みごたえがあります。

[投稿日]2026年06月13日  [最終更新日]2026年6月25日

おすすめの小説

おすすめのミステリー小説

警官の血 ( 佐々木譲 )
親子三代にわたり警察官となった男達の人生を描く大河小説です。2007年の日本冒険小説協会大賞を受賞し、直木賞のノミネート作でもあります。
狩人シリーズ ( 大沢在昌 )
惹句では「新宿鮫」にも匹敵するほどのシリーズだと銘打ってあります。それほどのものか好みによるでしょうが、かなりの面白さを持っていることは事実です。鮫島同様の一匹狼の刑事佐江が渋味を出しつつ、事実上の主人公として語り部になっています。
安積班シリーズ ( 今野敏 )
東京湾臨海署の刑事課強行犯係安積班の活躍を描く小説で、班長の安積警部補を中心に個性豊かなメンバーそれぞれの活動を描き出す、人気シリーズ。
姫川玲子シリーズ ( 誉田哲也 )
「姫川玲子シリーズ」の一作目であり、警視庁捜査一課殺人犯捜査係の姫川玲子を中心に、刑事たちの活躍が描かれます。若干猟奇的な描写が入りますが、スピーディーな展開は面白いです。
凍える牙 ( 乃南アサ )
「女刑事・音道貴子シリーズ」の一冊で、重厚な作品で読み応えがあります。直木賞受賞作です。

関連リンク

堂場瞬一『警視庁犯罪被害者支援課』シリーズ 特設サイト
講談社文庫 > 堂場瞬一『警視庁犯罪被害者支援課』シリーズ 特設サイト
ミステリがなければ生きていけない 堂場瞬一×林家正蔵で語り尽くす!①

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です