凄腕の始末屋として恐れられた榊原健三は、今では名前を偽り、人目を避けて山奥で暮らしていた。そんなある日、かつての恋人・多恵子の息子である恵太が、〈低レベル廃棄物処理研究施設・えびす〉見学に現れると知った健三は、胸騒ぎを覚える。だが、恵太をひと目見たい一心で施設に向った彼の前に、想像を絶する惨劇が待ち構えていた―――。命の危機に晒された恵太と同級生を救うため、健三はすべてを捨てて走り始める。傑作長編ハードボイルド。(全二巻)
〈低レベル廃棄物処研究施設・えびす〉での惨劇を目撃し、命を狙われる恵太と純江を救うため、榊原健三たちは、山林での逃亡を続けていた。執拗な“施設”の追跡により、健三たちは疲幣し、徐々に追い込まれていく。だが、そんな健三たちの逃走を陰で支えるものたちがいた―――。果たして健三は、恵太たちを守りぬけるのか! ? 東直己作品の主人公たちが集う記念すべき傑作長編、待望の文庫化。(全二巻)
榊原健三シリーズの第三弾の全二巻の長編小説です。
前作「残光」『残光』に続く、東直己ワールドが展開します。ただ、「俺」の活躍場面は少ないのが少々残念ですが、代わりに探偵畝原が顔を見せます。前作で「俺」が足手まといになったので、少なくとも体力的にましな畝原を登場させたのかもしれません。
しかし、疾走感も十分にあり、面白い小説です。