日輪の遺産 特別版

浅田次郎の同名小説を佐々部清監督が映画化。終戦間際の45年8月10日、陸軍大臣に呼び出された3人の軍人に、ある密命が下される。それは、マッカーサーから奪った財宝を秘密裡に陸軍工場へ移送し、隠匿せよというものだった…。堺雅人主演。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

この映画も原作ものの映画という意味では期待したほどではありませんでした。

 

仕方のないことですが、原作の冒頭から主人公的立場にいる丹羽明人や海老沢といった原作の導入部で動き回る人物は登場しません。地元の富豪、金原庄造の有する学園の卒業式で金原が倒れ、その妻久枝が昔を語り始めるところから物語は始まります

話はマッカーサーの財宝を隠匿する、その過程に絞られて進んでいくのですが、一番大事な教師と20名の少女達の行動とその行動の理由が何ともはっきりとしません。

その点が映画として明確に示されるか、若しくは曖昧にするのならばそのことを示唆するなりの手当を示してあればよかったのでしょうが、肝心の場面の情報が少なく、失望感が残るばかりでした。

壬生義士伝 TV版

吉村貫一郎は、南部藩随一の文武両道の士といわれながら、妻子を養うために脱藩し、壬生浪(みぶろ)と呼ばれた新選組に入隊する。“人斬り貫一 ”と恐れられ、また“守銭奴 ”とさげすまれながらも、稼いだ金は妻子に送っていた。恒例の正月スペシャル。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

主演の渡辺健のイメージが少々強い男過ぎるかな、と思い、また、妻役の高島礼子もちょっと印象が違いました。新選組の主だった人物も金子賢の沖田総司や竹中直人の斎藤一も、また筧利夫の坂本龍馬も首をひねりました。

映画版と異なり、原作をそれなりに細かなエピソードまで追いかけているのは良いのですが、故郷会津の山なみの風景で、山道の所々に掘削の跡が残っていたりと、少々興をそぐ個所があったのは残念です。

しかし、最後まで見終わる頃にはそうした点はどこかに行っていました。沖田総司など最後まで違和感の残る人もいるにはいたのですが、皆さすがの役者さんで、原作の雰囲気をよく表現していたと思います。

 

ただ、新選組内部の事件の殆どに主人公がメインで映り込んでいるのは、仕方がないのかもしれませんが、ちょっと違う印象はありました。原作ではそこまで絡んではいなかったと思います。

全部で十時間という長編です。細切れにしか見れなかったは残念ですが、レンタルで見る価値は十分にあると思います。

壬生義士伝 映画版

浅田次郎原作、滝田洋二郎監督の時代劇。混迷の幕末期に新撰組隊士として、妻と子を守るためだけに生き抜いた吉村貫一郎。副長助勤・斎藤一はそんな吉村を憎みながらも、その小さくも強固な生き方に惹かれていく。“あの頃映画 松竹DVDコレクション”。(「キネマ旬報社」データベースより)

映画は、年老いた佐藤浩市が演じる斎藤一が村田雄浩演じる大野千秋の病院へ孫を連れていくところから始まります。

丁度満州へ旅立つ準備をしていたその病院に置いてあった吉村貫一郎の写真を見て、斎藤一の回想の場面へと移るのです。

 

中井貴一の演技が光る、かなり良くできた作品だと感じました。

勿論137分という上映時間ですので、原作の全てが表現されているわけではありませんが、家族を思う吉村貫一郎の姿は良く描けていたと思います。2004年の第27回日本アカデミー賞で、最優秀作品賞や最優秀主演男優賞を始めとする多数の賞を受賞しています。