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山岡 荘八 雑感

新潟県生まれ。十四歳で上京の後、長谷川伸に師事。昭和13年、懸賞小説に入選し文壇デビュー。昭和25年から新聞に『徳川家康』を 連載開始。十八年がかりで完成したこの大河小説は「経営トラの巻」としても幅広い読者を獲得、五千万部突破という戦後、最大のベストセラーとなる。同作品 で「吉川英治文学賞」を受賞(Amazon「山岡荘八」の項 参照)1978年、死去

山岡荘八といえば、まず挙げられるのは『徳川家康』(全26巻 山岡荘八歴史文庫版))でしょう。新聞連載開始が1950年3月ですから、戦後日本復興期の精神的な支えにもなったというのも理解できる話です。それまでに既に人気作家ではあったのですが、『徳川家康』で国民的作家としての地位を確立しました。

『徳川家康』では、戦中の従軍作家として多くの特攻隊員を取材した経験から家康の欲した「泰平」に重ね合わせて描こうとしたそうです。また、そうした経験を経たためか、皇国史観の信奉者でもあり、1974年には、保守団体「日本を守る会」を結成し、自衛隊友の会会長も務めていました。

昭和十五年には村上元三らとともに十五日会を結成し、「股旅物」で有名な作家、長谷川伸に師事したそうです。そのため、演劇的な作風を取り入れていて、ストーリーも会話もテンポよく進む作風だと言います。この「十五日会」は、後に「新鷹会」と改称され現在に至っています。

1967年には長谷川伸賞を受賞し、昌平黌短期大学名誉学長に就任。1968年に第2回吉川英治文学賞を受賞され、1973年には紫綬褒章を受章されました。

[投稿日] 2015年03月18日  [最終更新日] 2016年1月12日
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おすすめの小説

これぞおすすめの時代小説作家たち

それぞれに一時代を築いた巨匠を呼ばれるにふさわしい時代小説作家さん達です。勿論、他にも多くの作家さんがいますが、とりあえず大御所クラスの作家を挙げてみました。
吉川 英治
多くの歴史小説を記しておられますが、何といっても「宮本武蔵」は外せません。
子母澤 寛
歴史小説、物語性をあわせもつ小説として「勝海舟」を始めとする勝海舟の物語は本を置けません。また、「新選組始末記」他のの新選組三部作はその後の新選組もののバイブルになっています。
井上 靖
多くの作品が映像化されていますが、「風林火山」や「天平の甍」ははずせません。
海音寺 潮五郎
平将門 」しか読んでないのですが、「西郷隆盛」(朝日新聞社 全九巻)は「西郷隆盛を中心に幕末動乱期を描いた日本史伝文学の最高峰」と言われますし、他にも「西郷と大久保」等の西郷隆盛研究は素晴らしいそうです。「幕末動乱の男たち」など、明治維新期と限定しても多数の作品があります。
池波 正太郎
1960年に『錯乱』で直木賞を受賞。江戸の市井に題材を採った時代小説を多く書かれた後、あの鬼平犯科帳や「剣客商売」、「仕掛人藤枝梅安」を発表され、その地位は不動のものとなります。その頃、「真田太平記」全16巻が書かれました。
司馬 遼太郎
勝海舟」とこの人の「竜馬がゆく」を読めば明治維新の骨組みは分かるのではないでしょうか。その上に「坂の上の雲」まで読めば、明治の政治体制の確立されるまでを知ることになります。司馬遼太郎で言えば他に「燃えよ剣」で新選組を知り、「最後の将軍」「歳月」「世に棲む日日」「花神」等で江藤新平、高杉晋作、吉田松陰、大村益次郎その他が描かれています。この人も挙げればきりがありません。
藤沢 周平
引退したとある藩の元用人が藩の紛争に巻き込まれていくお話の「三屋清左衛門残日録」は藤沢周平の代表作の一つなのですが、定評のある情景描写と共に主人公の生き方が心を打ちます。他にも、多数の作品があります。
山本 周五郎
伊達騒動の原田甲斐を描いた「樅ノ木は残った 」など、文学性の高さや物語そのものの面白さなど、時代小説を読む以上は必ず通らなければならない作家だと思います。反面、とても読み易い作品も多数書かれています。
早乙女 貢
會津士魂」(集英社文庫 全十三巻)は、「会津藩主従がなぜ朝敵の汚名を被らねばならなかったか」を描く大河歴史小説。第23回吉川英治文学賞受賞作品です。

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