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山本 一力 雑感

山本一力の作品に最初に出会ったのは「あかね空」でした。直木賞を受賞し、映画化もされるということで読んでみたのですが、人物が丁寧に書き込まれていて面白く、すぐに当時出ていた全部の作品を読んだ記憶があります。

特定の職業を主題として、その職業に就いている主人公を造形していく、という手法が新鮮で面白く感じたものです。

ただ、宇江佐真理の作品と比べ今ひとつ情感に欠ける感じはしました。この人の作品は作品で人情豊かに描きこまれていると思うのですが、宇江佐真理作品のような細やかさがないのかなという思いです。例えば今井恵美子作品を詩情豊かと表現することはあっても、山本一力作品を詩情豊かとはいえないと思うのです。しかし、それは欠点ということではなく、この作者の骨太な持ち味であり、特色なのです。それはまた山本一力作品の魅力として、読んでいて気持ちよく感じました。

宇江佐真理や今井恵美子の作品のような、優しさの中の人情物語を求めている方には色合いが異なるかもしれませんが、それでも自信を持って面白いとお勧めできると思います。

例によってこの人の作品も数が多く、またどれと絞ることが難しい作家の一人です。近時読んだ作品の中から強いて選んだ代表的なものと思ってください。

[投稿日] 2015年04月21日  [最終更新日] 2016年1月13日
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おすすめの人情小説作家

他にも多数の作家がおられますが代表的なものだけ取り上げました。
宇江佐 真理
女性らしいの優しい視点で描き出される市井の人々の暮らしに、ときには笑い、ときには涙を誘われながら是非一読してもらいたい作家です。一番の代表作としては個人的に「髪結い伊三次捕物余話シリーズ」がお勧めです。
今井 絵美子
全体として派手さはありませんが、四季の移ろいの描写も美しく、人間が丁寧な語り口で描かれています。特に「立場茶屋おりきシリーズ」などが好きな作品です。
高田 郁
みをつくし料理帖シリーズ」など、この人の作品では、料理が大切な要素となっている作品が多いようです。また主人公が逆境に耐え、それを乗り越えて成長していくことが多い気がします。
梶 よう子
柿のへた」を始めとする「御薬園同心 水上草介シリーズ」など、心優しい物語が繰り広げられています。
杉本 章子
呉服太物店美濃屋の跡継ぎの信太郎と引手茶屋千歳屋の内儀おぬいの二人を中心とした人間模様を描く人情物語の「信太郎人情始末帖シリーズ」などがあります。
本

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