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高田 郁 雑感

「久しぶりに良質の人情物に出会った。宇江佐真理の髪結い伊三次捕物余話シリーズを読んだときのような気がする。」と、「みをつくし料理帖」の第一作「八朔の雪」を読んだ当時のメモに書いていました。

高田郁の作品は宇江佐真理作品に比べ更に印象が優しい気がします。これは読みやすいということでもあるのでしょうが、逆に短所なのかもしれません。読後感が宇江佐真理作品に比べて若干軽い気がするのです。これは主人公が料理人である娘だから、ということではなく、作者の個性の差なのでしょうか、それとも筆力の差なのでしょうか。

作品は市井に生きる人々の生活を描く山本一力の書くそれにも似ていますが、山本一力の文章は力強くきちんと構築されているのに対し、この人の文章はどちらかというと宇江佐真理の文体に近く、人を見つめる目が優しいと感じられます。このことは現代小説についても同様で、やはり、作者の視点はかわりません。

あたたかな人情話を好む人には特にお勧めの作家ではないでしょうか。この人の作品は、今のところはずれはありません。

[投稿日] 2015年04月13日  [最終更新日] 2015年5月18日
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おすすめの人情小説作家

他にも多数の作家がおられますが代表的なものだけ取り上げました。
宇江佐 真理
女性らしいの優しい視点で描き出される市井の人々の暮らしに、ときには笑い、ときには涙を誘われながら是非一読してもらいたい作家です。一番の代表作としては個人的に「髪結い伊三次捕物余話シリーズ」がお勧めです。
今井 絵美子
全体として派手さはありませんが、四季の移ろいの描写も美しく、人間が丁寧な語り口で描かれています。特に「立場茶屋おりきシリーズ」などが好きな作品です。
梶 よう子
柿のへた」を始めとする「御薬園同心 水上草介シリーズ」など、作者の視点の優しさがにじみ出ている、心優しい物語が繰り広げられています。
山本 一力
文章には力強さがあふれています。それでいて細やかな人情が描き出されているのです。多数の作品を発表されています。