梶 よう子 雑感
東京都足立区出身。フリーライターとして活躍する傍ら、小説の執筆を開始する。2005年、時代小説『い草の花』で第12回九州さが大衆文学賞の大賞を受賞する。2008年、『槿花、一朝の夢』で第15回松本清張賞を受賞し(応募時の名義は蘇芳よう子)、『一朝の夢』と改題し刊行、小説家デビュー。
(出典:Facebook)
2016年、『ヨイ豊』で第154回直木三十五賞候補となる。
この作家の作品を調べてみると、「あさがお」がテーマだったり「植木職人」「ことり」だったりと動・植物に関連した物語が多いように見受けられます。
特に、どの作品でもとても読み易い文章を書かれ、作者の視点が優しく感じられます。
2005年に「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞し、2008年には「一朝の夢」で松本清張賞を受賞しておられます。ここにも「い草」が出てきました。
ただ、2016年に第154回直木三十五賞候補になった『ヨイ豊』を読んでみると、上記のようなこれまでの梶よう子という作家に対する印象が、少なからず変わったのも事実です。
それまでの、作品自体の持つ暖かさとでも言うべきものが、『ヨイ豊』では印象が異なったのです。と言っても、それは主人公ら絵師の、絵を描くことそのものに対しての視線の厳しさであって、絵師らに対するそれとは異なります。
師匠の名跡を継ぐことに対して煩悶する主人公や、失われいく江戸を哀しむ絵師たちを見つめる作者の目線は、やはり優しさに満ちていると思います。
[投稿日] 2015年04月09日 [最終更新日] 2016年3月10日