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東 直己 雑感

これまでこの作家の作品を読んだことがありませんでした。正確に言えば、アンソロジーの中の一作として短編を読んだことはあったのだけれど、記憶に残っていなかったのです。

大泉洋主演の映画がきっかけでこの作家を知ったのですが、端的に言って面白い。久しぶりに物語世界に引き込まれた作家に出会いました。作品単品ではこれは良いと思える作品はあったのですが、作家として面白いと思えたのは久しぶりのことです。

ハードボイルド作品なのですが、少なくともシリーズ作品は北方謙三や志水辰夫などの低いトーンの男たちの世界と比べると現実的です。「ススキノ探偵シリーズ」の主人公はひたすら能天気だし、「探偵・畝原シリーズ」では生活を背負って生きています。「榊原健三シリーズ」でも、この作家自身がそうなのか、文章若しくは文体がそうなのか、決してトーンが低いとは言えなさそうです。

また、これらの三作品について言えば各シリーズがその舞台を同じくしていて、夫々の登場人物が他のシリーズに出てきたりと、それもまたこの作品群の魅力の一つだと思います。

特に「ススキノ探偵」の「俺」の饒舌さは群を抜いています。少々冗長な場面が無いこともありませんが、それでも物語の雰囲気を盛り上げてくれます。

私の好みにはまる、文句なく面白い小説です。

[投稿日] 2014年12月29日  [最終更新日] 2015年3月28日
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