イラスト1
Pocket

浅田 次郎 雑感

一言で言うと「職人」という言葉がぴたりと嵌まる、そんな作家さんです。巷では「平成の泣かせ屋」との異名もあるというのも納得です。

とにかく、人の心の琴線のその中でも涙を誘うポイントを緻密に知り尽くしていて、そのポイントを縦横についてくるのです。勿論その前提として十分な文章力を有したストーリーテラーとしての力量があるからこそのことです。

あまりの表現の上手さに時には「あざとさ」さえ感じてしまいました。文章の上手さではなく、テクニックとしてのセンチメンタリズムではないのか、と思ったのです。しかし、やはり上手さは上手さとして素直に感じるべきだと今では思っています。

当初は『きんぴか』であるとか、『プリズンホテル』であるとか、悪漢小説の書き手であったそうです。その後映画化もされた『地下鉄(メトロ)に乗って』で1995年には吉川英治文学新人賞を受賞し、同様に映画化され1999年の第23回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した『鉄道員(ぽっぽや)』で1997年の直木賞を受賞しています。

大ベストセラー作家としての浅田次郎という作家については多くを語る必要も無いのでしょう。読み始めたのが今年(2014年)である私は何故もっと早く読まなかったのかと後悔しているだけです。

[投稿日] 2014年12月25日  [最終更新日] 2015年7月5日
Pocket

おすすめの小説

心に残る物語のおすすめ

読後に様々な形で心に染み入る物語を載せてみました。
小川 洋子
映画化もされた、記憶が80分しかもたない数学博士と、家政婦とその息子の心の交流が描かれている「博士の愛した数式」はゆっくりと心に染み入ります。第55回読売文学賞および第1回本屋大賞受賞作品。
金城 一紀
代表作の「GO」は直木賞を受賞した、著者の自伝的な作品で、在日韓国人である主人公の立場が明確に示されている作品です。一方で、「ゾンビーズシリーズ」ののような痛快青春小説も書かれています。
佐藤 多佳子
学校と音楽をモチーフに少年少女の揺れ動く心を瑞々しく描いた「第二音楽室」や、陸上のスプリンターの道をまい進する少年の物語である「一瞬の風になれ」など、良質の青春小説を多数書かれています。
高田 郁
ふるさと銀河線 軌道春秋」は漫画の原作として発表され、人気を博した作品を小説化した短編集です。下を向いている登場人物たちに、明日への希望を示す物語集です。
夏川 草介
シリーズの1と2のそれぞれが本屋大賞のベスト10に入賞している「神様のカルテ」は、信州松本の病院に勤務する内科医の栗原一止の、医者としてのあり方を真摯に見つめながらも、重くなりがちなテーマを、ユーモアに包まれた文章で、暖かく描きだしています。

人情小説のおすすめ

山本周五郎、藤沢周平といった大御所は除いています。
宇江佐 真理
女性らしいの優しい視点で描き出される市井の人々の暮らしに、ときには笑い、ときには涙を誘われながら是非一読してもらいたい作家です。一番の代表作としては個人的に「髪結い伊三次捕物余話シリーズ」がお勧めです。
今井 絵美子
全体として派手さはありませんが、四季の移ろいの描写も美しく、人間が丁寧な語り口で描かれています。特に「立場茶屋おりきシリーズ」などが好きな作品です。
山本 一力
文章には力強さがあふれています。それでいて細やかな人情が描き出されているのです。多数の作品を発表されています。
梶 よう子
柿のへた」を始めとする「御薬園同心 水上草介シリーズ」など、心優しい物語が繰り広げられています。
杉本 章子
呉服太物店美濃屋の跡継ぎの信太郎と引手茶屋千歳屋の内儀おぬいの二人を中心とした人間模様を描く人情物語の「信太郎人情始末帖シリーズ」などがあります。
本

関連リンク

新選組の本を読む ~誠の栞~
新選組関連の本だけを纏められたサイトで、その量は凄いです。勿論浅田次郎の三部作についても書いておられます。