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青山 文平 雑感

1948年生まれ。
神奈川県横浜市出身。
早稲田大学第一政治経済学部卒業。
経済関係の出版社に18年勤務した後、92年よりフリーライター。
1992年 『俺たちの水晶宮』で第18回中央公論新人賞を受賞。ほぼ10年で創作活動を終了。
2011年 初めての時代小説『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞しデビュー。
2014年 『鬼はもとより』で第152回直木三十五賞候補。同作で第17回大藪春彦賞受賞。
2015年 『つまをめとらば』で第6回山田風太郎賞候補。
2016年 『つまをめとらば』で第154回直木三十五賞受賞。
(ウィキペディアより)

江戸時代の天明期前後ともなると武士が武士であるだけでは生きていけない時代になっており、だからこそドラマが生まれやすいから、という理由で青山文平作品は天明期またはその前後の時代を背景とすることが多いそうです。

確かに、出版されている本を読んでみると武士であることに忠実であろうとすることにより巻き起こる様々な軋轢、相克が描かれています。

また、2016年の直木賞受賞時のインタビューでは、「銀のアジ」を書きたいとも言っておられます。死んだ青魚ではない銀色をした生きているアジ、英雄ではない大衆魚としてのアジを書きたいということです。従って、「戦国と幕末は抜けている」のだそうです。

その文章は清冽で、無駄がありません。また、会話文の合間に主人公の心理描写や過去の思い出の描写が挿入されたりと、心裡への接近が独特で、焦点がぼけるという異論もありそうですが個人的には状況の語り口が見事だと思っています。

全般的に侍の存在自体への問いかけという手法ですので、痛快娯楽小説を探しておられる方には向かないかもしれません。あくまで、じっくりと言葉の余韻を楽しみつつ、物語の世界に浸る読み手でないと途中で投げ出すかもしれません。

でも、軽い読み物を探している方にもできればゆっくりと時間をとって読んでもらいたい作家さんです。

[投稿日] 2014年12月29日  [最終更新日] 2016年1月25日
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