柚月 裕子

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宝島社

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元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、無実を主張する依頼人を救えるのか。感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス。(「BOOK」データベースより)

本作品は、柚月裕子のベストセラーになっている、ヤメ検である弁護士佐方貞人が活躍する『佐方貞人シリーズ』の第一巻目です。

本作品では佐方貞人は弁護士として、圧倒的不利な状況にある被告人を救い、かつ、事件の真実の姿を暴き出します。ただ、被告人の無実を立証する、という点では弁護士として当然の職務行為だと思うのですが、そこからさらに事件の真実を暴き出す行為は如何なものでしょう。

「罪はまっとうに裁かれなければいけない」という主人公の思いと弁護活動とは別物ですから若干の疑問はあるところで、正しい弁護活動のあり方なのかどうか、少々考えさせられました。

本書は、実にベタな社会派の推理小説です。しかし、そのベタさが実に小気味いいのです。ただ、推理小説としては決してうまい出来ではないと思います。それどころか、随所に気になる個所があり、私の感覚からすると現実的ではないと感じられる個所が少なからず見受けられます。

でも物語としてはそのストーリー展開には強く惹きつけられ、早く先を読みたいという思いに駆られました。細かな瑕疵はありながらも、それを上回るこの作者の筆の力だったというところでしょうか。

この作者柚月裕子は、 横山秀夫が好きで、彼のような物語を書きたいと語っておられました。確かに、本書のありようは『半落ち』で示されている人間の業とでも言うべきものを、また別な形で示そうとしているようでもあります。

そしてその試みはそれなりに成功している、と個人的には感じました。

ちなみに、本シリーズは上川隆也主演で三作品がテレビドラマ化されています。少々イメージは異なる印象ですが、ドラマ化されるということはそれなりに人気を得た作品だとの評価だということでしょう。

[投稿日]2017年04月02日  [最終更新日]2017年4月2日
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