山本 一力

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材木商の陣左衛門は途方に暮れていた。請け負った熊野杉が時化で流され、熱田湊にある残りも先払いがないと動かせない。事情を知った壊し屋稼業の晋平は話を渡世人のあやめの恒吉につなぐ。先払いの四千両を恒吉が持ち、杉を江戸に廻漕できれば四千両の見返り。しくじれば丸損。恒吉は代貸の暁朗に一切を任せて熱田湊に送り込む。商人の矜持に渡世人気質が助っ人して乾坤一擲の大勝負。(「BOOK」データベースより)

 

一人の渡世人が畑違いの熊野杉の取引に乗り出す姿を描く、長編の人情時代小説です。

 

主題の職業は何かといえば、侠客、ということになるのでしょうか。山本一力が一番その力を発揮する漢(おとこ)の世界です。

山本一力の「晋平の矢立」という作品の登場人物である伊豆晋平が考えた儲け話に、貸元あやめの恒吉が乗っかり、その代貸暁朗が全責任を負って杉を江戸に運ぶことになったのです。四千両という大金のかかった大仕事。海の男との軋轢や嵐を乗り越え、暁朗は無事杉を運びこむことができるのかというお話です。

 

 

話は単純で、その単純な中に人と人との繋がりが描かれていきます。山本一力の一番の魅力が出た作品ではないでしょうか。面白さは言うまでもなく、お勧めです。

[投稿日]2015年04月21日  [最終更新日]2018年12月1日
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