希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を、親子二代にわたって描いた第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。(「BOOK」データベースより)
第126回直木賞を受賞した、長編の人情時代小説です。
本作品は豆腐屋が対象となる職業で、永吉とおふみという夫婦、そして二人の長男栄太郎の二代の物語です。山本一力作品はどの作品もそうなのだけれど、特に本作品は「家族」に焦点が当てられています。その「家族」が数々の困難を耐え、乗り越えていく(?)物語で、どちらかというと、奥さんのおふみに焦点が当てられています
山本一力作品のエッセンスが詰まっているといっても良い気がします。主人公に与えられる困難、周りの人たちの助力、侠客の登場、更なる試練、それに立ち向かう主人公(本書ではそれが家族)というすべてがそろっています。
小説も人情物は特に読者に癒しをもたらすという話を聞いたことがありますが、この本は丁度いいのではないでしょうか。お勧めです。