月村 了衛

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新刊書

早川書房

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ある密売取引の現場を急襲した神奈川県警は、バイヤーである不法入国者グループを逮捕した。ところが、若い女性ばかりのそのバイヤーのうちの数人が包囲陣にむかって駆け出し、周りを巻き込んで自爆してしまう。凄惨な現場には倒壊した車両や炎上する家屋が残されたのみで、残る六人の女性の姿はどこにもなかった。

これまでの作品と異なり、城木貴彦理事官と由起谷志郎警部補の話が語られてはいますが、現在進行している事件、それも未成年らによる戦闘行為がメインのテーマだと感じられました。

テロ行為そのものが許されないことは勿論なのですが、加えて「児童を徴集、あるいは誘拐して兵士に仕立て上げ」られている現実、「最も安価で効果的な戦力増加方法」だとして未成年者が戦闘員として闘っているという現実に対する問題提起がなされています。

本書でテロリストとして描かれているのは、チェチェン紛争で夫や家族を失った女性たちだけからなる組織である「黒い未亡人」と呼ばれる組織で、実在の組織です。こうした組織が現実に存在し、テロ行為を行っているのが現実の世界であるということが目の前に示されます。

未成年者や、夫や家族を失った女性たちがテロリストとして闘っているという実際の世界の現実がテーマなので、話は重く、決して痛快活劇ではありません。しかし、作者の筆力はそうした重みをも弾き飛ばす勢いで展開します。アクション小説としての面白さはこれまでにも増しているのです。更には警察内部の反特捜部勢力である<敵>との戦いも、より熾烈でサスペンスフルなものになってきています。

付け加えますと、物語が内包している竜騎兵そのものにまつわる謎や、秘密のかたまりのような沖津旬一郎特捜部長についてはまだ何も語られてはいません。まだまだ解き明かされるべき謎は山積しているのです。今後の展開が楽しみな作品です。

[投稿日]2015年04月14日  [最終更新日]2015年4月14日
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