月村 了衛

イラスト1
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文庫

早川書房

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「龍機兵(ドラグーン)」とは、「機甲兵装」つまりはパワードスーツのことです。ハインラインの『宇宙の戦士』に出てくるパワードスーツがその始まりでしょうか。より身近なもので言えば、『機動戦士ガンダム』に出てくるモビルスーツがあります。操縦者が乗り込み、その動作が反映される外装装置ということになります。

近時の映画で言えば『パシフィック・リム』がありますね。でも、あちらは八十メートル前後の大きさがありますが、本書のそれは三メートル程です。アニメ『攻殻機動隊』を挙げる人もいるようです。しかし、少々ダークなトーンの側面を見ればそうかもしれませんが、両作品共に世界観が違う、と私は思いました。

確かに、物語の世界観は『機動警察パトレイバー』によく似ています。その小説版と言ってもいいかもしれません。ただ、物語はより濃密で、登場人物それぞれの性格付けがきちんと為なされており、重厚な小説世界が構築されています。その世界を舞台に展開されるアクションは読みごたえがあり、飽きさせません。

警視庁の通信指令室より指令を受けた巡回中のパトカーが現場に駆け付けると、そこで見たものは「キモノ」と称される二足歩行型軍用有人兵器「機甲兵装」だった。パトカーを一瞬で踏み潰した「機甲兵装」は江東区内を滅茶苦茶に走り回り、多大な人的物的被害をもたらした後、地下鉄有楽町新線の千石駅に停車中の地下鉄車両を人質に立て籠ったのだった。

本書の主人公は警視庁内に設けられた「特捜部」ということになるのでしょう。作品毎に物語の進行の中心となるたる人物が異なり、その人物の過去と現在、そしてメインとなる事件、その解決の物語が語られます。

第一作である本書では警察組織の嫌われ者となっている「特捜部」の現在が語られ、部長の沖津旬一郎や城木、宮近といった理事官、技術的側面を管理する鈴石緑技術主任などが登場します。

しかし、何といっても特徴的なのは「龍機兵」を操縦するのが元傭兵である姿俊之、元ロシア警察官のユーリ・オズノフ、元IRAのテロリストライザ・ラードナーだということです。何故この三人なのか、ということも一つの謎であり、シリーズの中で少しずつ明かされていきます。そして、本書ではまず姿俊之を中心として物語が進みます。

SF好きな人以外には本書の設定は受け入れにくいかもしれません。でも、そこを少しだけ我慢して読んでもらえれば、内容の濃い物語を楽しめる筈です。

ただ、決して明るくはありません。どちらかと言えば重めの雰囲気ではあります。しかし、ほかでも書いたように、日本SF大賞、吉川英治文学新人賞を受賞し、更に「このミステリーがすごい!」でも高評価を得ているのです。それほどに面白さは保証付きだと思います。

本作は2014年11月に「完全版」と銘打って、大幅に加筆された作品が出版されています。どのくらい変わっているかは不明ですが、近いうちに読んでみようと思います。

[投稿日]2015年04月14日  [最終更新日]2015年4月14日
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