辻堂 魁

風の市兵衛シリーズ

イラスト1
Pocket

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは うつけ者の値打ち 風の市兵衛17 (祥伝社文庫) [ 辻堂魁 ] へ。


算盤侍唐木市兵衛を、北町同心の渋井鬼三次が手下とともに訪ねてきた。岡場所を巡る諍いを仲裁してくれという。見世に出向いた市兵衛の交渉はこじれ、用心棒の藪下三十郎と刃を交えるが、互いの剣に魅かれたふたりは親交を深めていく。三十郎は愚直に家族を守る男だった。だが、愚直ゆえに過去の罪を一人で背負い込んでいる姿を、市兵衛は心配し…。(「BOOK」データベースより)

風の市兵衛シリーズ第十五弾で、前作同様に本書もまた講談話の香りを濃密に持っている作品です。ただ、前作よりも市兵衛色が強いのもまた事実であり、人情ものとして胸に迫る物語でもあります。

藪下三十郎こと戸倉主馬は、公金使い込みの負い目から、かえって更なる悪事へと引き込まれてしまいます。それどころか、他の仲間から騙されて年老いた両親やかわいい妹の行く末を保証するとの言葉を信じ、仲間の罪をも一身に背負って出奔したのでした。

それから数年後、江戸の藪下で岡場所の用心棒となっていた主馬は、いさかいの末に市兵衛と戦うことになるのですが、そのことは逆に二人の距離を近づける事になるのです。

前巻同様にストーリー自体は目新しいものではなく、どちらかと言えばよくある話です。そうでありながら、辻堂魁という作者の手にかかると、人情味豊かな痛快時代小説として成立するのですから、作者の力量のうまさを感心するしかないと思われます。

痛快時代小説の王道を行く本書です。ただ物語のもたらす心地よさに浸り、既に出ている続刊を読みたいと思うばかりです。

[投稿日]2017年09月01日  [最終更新日]2017年9月1日
Pocket

おすすめの小説

おすすめの人情小説

橋ものがたり ( 藤沢 周平 )
江戸の町の様々な「橋」をモチーフにし人情時代短編小説集。
一朝の夢 ( 梶 よう子 )
両御組姓名掛りという閑職の北町奉行所同心である朝顔オタクの中根興三郎を主人公とした、作者の優しい目線が光る人情小説で、歴史の渦に巻き込まれていく姿が描かれます。
信太郎人情始末帖シリーズ ( 杉本 章子 )
呉服太物店美濃屋の跡継ぎの信太郎と引手茶屋千歳屋の内儀おぬいの二人を中心とした人間模様を描く人情物語です。
御薬園同心 水上草介シリーズ ( 梶 よう子 )
御薬園同心の水上草介を主人公とする、心温まる人情劇です。
雨やどり ( 半村 良 )
SFの巨匠としての顔のみならず、人情小説の大家でもある半村良の直木賞受賞作品です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です