辻堂 魁

風の市兵衛シリーズ

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武州忍田は幕府の台所を支える最重要拠点である。年の瀬、公儀御鳥見役とその手下が斬殺された。領主の阿部家は追剥ぎ強盗の仕業とするが、公儀目付役は疑念を隠さなかった。同じ頃、唐木市兵衛は俳諧の宗匠を訪ねていた。彼は阿部家の元家士で、忍田までの旅の供を依頼される。破格の給金を訝しんだ市兵衛が真意を問うや、捕らえられた友の救出に向かうと…。(「BOOK」データベースより)

風の市兵衛シリーズ第十六弾です。

元阿部家家臣である俳諧師の芦穂里景が武州忍田領阿部家の上屋敷を訪れ頼まれたのは、武州忍田領内で殺された公儀御鳥見役の殺害犯人として捕らえられた笠木胡風を助け出して欲しいということでした。

そこで、かねてからの知り合いであった矢籐太を通じて唐木市兵衛を雇い、芦穂里景とその身辺の世話をする正助という八歳の少年との護衛を頼み、武州忍田へと向かうのです。

公儀御鳥見役が殺された理由は、例によって武州忍田領阿部家の内紛にありました。こうした時代小説の典型として、お家の重役らの専横があり、その専横に対し立ち上がる弱小な正義の一派がいて、ヒーローの助けにより物語は大団円を迎える、という一つの図式があります。

本書はその典型的な物語であり、笠木胡風や芦穂里景らといった、お家の良心的存在を市兵衛が助け、勧善懲悪を果たします。

個人的には、弥陀之助の登場場面が無いことや、市兵衛の動きが遅いことなど、全く不満点が無いわけではありません。

しかしながら、そうしたことは個々人の勝手な要求ですから、作者の構築する物語の世界に十分に浸れる以上はそれでよしとすべきでしょう。

そして本書は、本シリーズの第二作目の『雷神』で登場した小僧の丸平(がんぺい)を彷彿とさせる正助の存在もあって、読者の要求を最大限満足させてくれる作品になっていると思うのです。

[投稿日]2017年09月01日  [最終更新日]2017年9月1日
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