高木 彬光

イラスト1
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文庫

光文社

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全編が法廷での検察、弁護人のやり取りで成り立っている珍しい構成の本です。

法廷場面だけの構成なので、決して派手さはありません。検察と弁護人とのやり取りの中から被告人の真実の姿が浮かび上がってくるのです。そこには皆の思いもかけない本当の理由がありました。

一般の推理小説では、真犯人告発のための事実の発見が主眼になり、その事実発見の過程こそが物語の要帝になります。一方、本作品は法廷が舞台であり、法廷では提出された証拠に基づいた弁論で示された事実だけが裁判官の判断の基礎になるのです

つまり、一般に描かれる調査の過程の描写はありません。読者は、調査の結果が法廷に提出される場面及びその結果だけを知ることになります。

先般読み返してみたのですが、今でも小説としての面白さは色あせてはいませんでした。ただ、お金の価値の感覚が今とは相当異なるのが新鮮に感じてしまいました。また、これは当時から思っていたことですが、文章が少々大時代的に感じる個所があります。でも、これは高木彬光という作家の特色と捉えるべきなのでしょう。

この探偵役となる弁護士百谷泉一郎は奥さんが相場師であり、資金には不自由しません。そこで十分な調査を尽くし、真実発見に努めることが出来るのです。

蛇足ですが、今回読み返すまで、高木彬光作品の中で奥さんのことをペリと呼んでいた主人公は「検事霧島三郎」だと思っていたのですが、本作品の弁護士百谷泉一郎のことでした。

この弁護士百谷泉一郎シリーズは本作品が最初です。女傑である奥さんも活躍するこのシリーズは他に「誘拐」、「人蟻」等があり、かなり面白く読んだ記憶があります。

[投稿日]2015年04月13日  [最終更新日]2015年4月13日
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