高田 郁

イラスト1
Pocket

写真は Amazon にリンクしています。

楽天Booksは あきない世傳金と銀 源流篇 (ハルキ文庫) [ 高田郁 ] へ。


あきない世傳金と銀シリーズ(2018年05月25日現在)

  1. 源流篇
  2. 早瀬篇
  3. 奔流篇
  1. 貫流篇
  2. 転流篇

 

『みをつくし料理帖』シリーズが一大ベストセラーとなった高田郁が放つ、大坂商人をテーマにした物語です。

 

武庫川の河口域にある津門村で、学者であった父重辰の庇護のもと育った幸でしたが、いわゆる享保の大飢饉で兄雅由を亡くし、続いて父をも疫病で亡くしてしまいます。そのために九歳で大坂天満の呉服商「五鈴屋」へ女衆として奉公に出ることになるのでした。

五鈴屋には、まわりからは「阿呆ボン」と呼ばれるほどの遊び人である四代目徳兵衛という長男、商才はあるのですが他人への思いやりを持たない二男の惣次、戯作が好きな坊っちゃんである三男の智蔵という三人の兄弟がおり、更に彼らの祖母の富久がいて商売に目を光らせるなか、番頭の治兵衛が店の実質的な切り盛りをしていました。

兄からの「知恵は生きる力になる」という言葉を抱いていた幸は、元来の知識欲に火がつき、貪欲に商いについて学んでいきます。そのことに気が付いたのは番頭の治兵衛であり、三男の智蔵でした。

ここから、幸の大坂商人としての人生が始まり、生き抜いていく姿が描かれるのです。

 

『みをつくし料理帖』は料理の世界を舞台にした、一人の娘の成長譚でしたが、今回は大坂商人の世界、それも呉服商を舞台にしての一人の少女の成長譚です。

九歳という年齢で女衆として大坂の商店に奉公し、幸の才能を見抜いた治兵衛らの手助けもあり、商売の基礎からを勉強していく幸です。

その後思いもかけない出来事が重なり、五鈴屋のご寮さんとなります。現在三巻まで読んでいますが、今後、この物語は五鈴屋を盛りたてていく幸の姿が描かれるのだと思います。それはまた、幸自身が成長する姿を追いかけることにななるのでしょう。

大坂商人というアクの強い世界で成長していく娘の姿は、かつて見ていた『細うで繁盛記』というドラマを思いだしていました。新珠三千代という往年の美人女優を主人公とし、冨士眞奈美が憎まれ役を演じたこのドラマはかなりの人気をはくしました。

同時に思いだしていたのが、『細うで繁盛記』の原作『銭の花』を書いた花登筺の別な作品である『どてらい男』というテレビドラマです。「株式会社山善」という実在の商社がモデルであり、花登筺の同名小説を原作としたドラマです。西郷輝彦が主演をしており、大阪立売堀の機械工具問屋を舞台にした物語でした。

大坂商人の姿を描いた物語といえば、あの山崎豊子の作品に、デビュー作である『暖簾』、吉本せいをモデルにして直木賞を受賞した『花のれん』、船場の老舗足袋問屋を描いた『ぼんち』などの作品があります。どの作品も私が若い頃に読んだ作品であり、今はもうそのあらすじも覚えてはいませんが、大阪商人のど根性を描いていて、一気に読んだ記憶があります。

本シリーズを読み始めてすぐに、これらの大坂商人を描いた作品を思い出しながら読み進めたほどに、大坂の商売人の在りようを良く調べて描き出してあります。また、このシリーズの主人公の幸も、前シリーズの『みをつくし料理帖』の主人公の澪を思い起こさせる魅力的なキャラクターであり、今後の展開にも期待の持てそうな始まりでした。

実際、巻を読み進めるにつれストーリーが意外な方向へと展開し、読み手も物語に引きずられてしまうのです。期待にたがわない読み応えのあるシリーズになりそうです。というより、なっています。

[投稿日]2018年04月01日  [最終更新日]2018年5月25日
Pocket

おすすめの小説

おすすめの人情小説作家

宇江佐 真理
女性らしいの優しい視点で描き出される市井の人々の暮らしに、ときには笑い、ときには涙を誘われながら是非一読してもらいたい作家です。一番の代表作としては個人的に「髪結い伊三次捕物余話シリーズ」がお勧めです。
今井 絵美子
全体として派手さはありませんが、四季の移ろいの描写も美しく、人間が丁寧な語り口で描かれています。特に「立場茶屋おりきシリーズ」などが好きな作品です。
杉本 章子
呉服太物店美濃屋の跡継ぎの信太郎と引手茶屋千歳屋の内儀おぬいの二人を中心とした人間模様を描く人情物語の「信太郎人情始末帖シリーズ」などがあります。
田牧 大和
とんずら屋や女錠前職人そして中二階女形といった、主人公の設定が独特です。「濱次シリーズ」など、小気味よく、読み易い文章で、表立った人情噺とは言えないかもしれません。
山本 周五郎
時代小説と言えば、市井もの、武家ものを問わずこの人を外すわけにはいきません。ごく初期の作品を除き、その語り口には常に引き込まれます。特定の一冊と挙げることも難しいほどに、素晴らし作品がそろっています。
本

関連リンク

高田郁 あきない世傳 金と銀シリーズ - 株式会社 角川春樹事務所
角川春樹事務所 高田郁 あきない世傳 金と銀シリーズ
神戸新聞NEXT|文化|高田郁さん新シリーズ「あきない世傳 金と銀」大坂商人の知恵後世に
女料理人・澪(みお)の奮闘を描いて人気を博した「みをつくし料理帖」(全10巻)の完結から1年半。庶民の暮らしに寄り添った時代小説に定評のある作家高田郁(たかだかおる)さん=宝塚市=が、待望の新シリーズ「あきない世傳(せいでん) 金と銀」をスタートさせた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です