若殿八方破れシリーズ(完結)
- 若殿八方破れ
- 木曽の神隠し
- 姫路の恨み木綿
- 安芸の夫婦貝
- 久留米の恋絣
- 萩の逃れ路
- 岡山の闇烏
- 彦根の悪業薬
- 駿府の裏芝居
- 江戸の角隠し
鈴木英治作品は軽く読めて読み易いのだけれど、このシリーズはその最たるものではないでしょうか。ちょっと行きすぎの感が無きにしも非ずです。
信州真田家跡取りである主人公は自分に尽くしてくれていた家来が殺されたため、本来許されない筈の仇打ちに出ます。
「傑作廻国活劇」と宣伝文句にあるように全国を巡るのですが、当時は勝手に江戸外へとでることはできないにも拘らず、廻国の途中の主人公は実に人望が厚く、鷹揚なその性格で人々を魅了し、各地でその身分を明かしてしまいます。
いくらなんでもそれはないだろう、と思いつつも、そういう小説だからと読み続けてしまいます。
まあ、そんなことは痛快活劇小説として無視できる設定ではあるのですが、ちょっと軽すぎるきらいはあります。そうした点を許せる人なら面白く読めるのではないでしょうか。
私はファンタジーでさえその物語なりの世界観が出来上がっていないと違和感を感じてしまい、読まないのですが、本シリーズの場合そこまではなく、結構面白く読んでいます。