幕府の勘定吟味役大内外記ら五人が何者かに惨殺された。淀島登兵衛とともに殺害現場に駆けつけた湯瀬直之進は、勘定奉行枝村伊左衛門に請われ探索を開始する。そんな折、護国寺界隈では歳や身分の違う者たちが行方知れずになる事件が頻発していた。事態を重く見た定廻り同心樺山富士太郎と中間の珠吉は、失踪人捜しに奔走していたが…。人気書き下ろし長編時代小説第二十六弾。(AMAZON内容紹介)
相変わらず面白いシリーズです。
いわゆる大衆小説の典型だと思うのだけれど、登場人物のキャラクター設定が絶妙で、飽きがこないのです。特にこのシリーズはその点が際立っていて、仲間や恋人を思う人物の心根が嬉しいのです。妙に人の視線に対する感覚が鋭かったりする点も、普通であれば安易に過ぎると思うであろう点も、独特の視点での描写と思え、個人的には気に入っているのです。
現時点での文庫書き下ろし時代劇の一方の雄である、佐伯泰英の『居眠り磐音江戸双紙シリーズ』や『酔いどれ小籐次シリーズ』などのシリーズに比敵する、いやそれ以上の面白さをもってきているのではないかと思います。
他にも鳥羽亮の『剣客春秋シリーズ 』や『はぐれ長屋の用心棒シリーズ』などもあるのですが、これを言い始めたらきりがありません。
まあ、それほどに面白いシリーズだということです。