鈴木 英治

陽炎時雨 幻の剣シリーズ

イラスト1
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主人公秋重七緒は、みたらし団子を求めてやってきた団子屋の「常葉屋」で、以前来た時に比べて活気が無く、お客も減っていて、団子自体の味も微妙に落ちているように感じられた。店の者に以前いた娘のことについて聞いてみると、その娘おひのは旦那の波津彦と共に行方不明になっているという。そこで七緒は行方不明の娘夫婦の探索を請け負うのだった。

本シリーズの第一作目の「歯のない男」では設定された謎、筋立てに不自然さを感じたので、続刊である本書では持ち直しているだろうと期待を持って読み始めました。しかし、その期待も冒頭からすぐに崩れ始め、残念ながら最後まで持ち直せませんでした。

例えば秋重七緒のおひの夫婦のかどわかしへの関わり方が、単にその店の雰囲気が変わっていたことをきっかけに店の者に話を聞いた縁があるというそれだけなのです。話をを聞いたから見捨てることが出来ない、という理由では見知らぬ夫婦の行方を捜すきっかけとしてはあまりにも単純過ぎると思ってしまうのです。

この作家のもう一つの『若殿八方破れシリーズ』も一種のファンタジーと言ってもいいほどの気楽さ加減で物語は進んでいきますが、本シリーズも同様なのでしょう。つまり、細かな設定にこだわらずに単純に鈴木ワールドに入ればいいのかもしれません。

しかし、若殿様の道中記である『若殿八方破れシリーズ』とは異なり、本書は謎ときを主軸に据えて物語が展開する以上は、個人的には状況設定をもう少し詰め、筋を練って欲しいと感じます。もともと鈴木英治という作者の作風自体が「殺気」や視線に対する「気配」といった感覚的なものを多用している作家であるにしても、これまではそれなりに練られた筋立てがありました。本書はその練られた感じがあまり見えないのが残念なのです。

勿論、鈴木英治らしさはあって、そういう単純な娯楽に徹した物語だと割り切って読めばそれなりの面白さは楽しめると思います。

色々と文句はつけても、新刊が出ればまた読むのは間違いはなく、切り捨てることはできないでしょう。

[投稿日]2015年04月13日  [最終更新日]2015年4月13日
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