杉本 章子

イラスト1
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文庫

講談社

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かなり面白い物語でした。主人公の設定がユニークであると同時に日本舞踊の世界が舞台となっていて、物語の舞台自体が粋であり、更にエンターテインメント性も豊かな物語として仕上がっていて、掘り出し物の面白さでした。

本シリーズは「お狂言師」が主人公です。「お狂言師」とは、芝居見物などできなかった大名の奥方や姫君のために、「男子禁制の大奥にあがって、その時々に評判の歌舞伎舞踊をお目にかけるとを本業とする女芸人」のことだそうです。

そして、主人公の師匠と設定されている三代目水木歌仙も「美貌の女形瀬川菊之丞の通称路考にちなみ『路考お粂』と評判された江戸美人」で幕末に実在した人らしく、「お狂言師」として高名な人なのだそうです。

この歌仙の弟子の歌吉こと赤松屋のお吉が主人公です。同輩の嫉妬から顔に傷を負わされてしまったお吉は、一生をお狂言師として生きていくことを決心するのですが、公儀お小人目付の侍から隠密の手伝いを頼まれることになり、様々の事件に巻き込まれていくことになります。

この事件の数々が、他の時代小説と異なり日本舞踊という芸事の世界を基本に展開されますので、見知らぬ世界が展開される面白さと、主人公の勝気なはねっかえりの様などと相まって実にユニークな面白い物語が展開されます。

シリーズ二作目ともなると、将軍直々のお声がかりで大奥へ上がることになります。ここで大奥のしきたり、決まりごとやそれに伴う所作等々、見知らぬ情報がふんだんに盛り込まれています。例えば大奥ではお狂言師とは言わずに、お茶所(おちゃどこ)とかお茶の間子供などと言うらしいなど。更にはよく聞く女同士の戦いが描かれているところも見所です。そうした大奥での照代と歌吉の二人での「道成寺」を踊る場面は圧巻です。日本舞踊のことが分からない私でも十分にその雰囲気を味わうことが出来ました。

第三作目では将軍家の精姫様の輿入れをめぐり、これを回避したい一派と、将軍恩顧の姫の受け入れは誉であり受け入れるべきとする一派との暗闘が、お吉の身の回りにも降りかかってきます。そうした中、公儀お小人目付の日向新吾は有馬家の大横目方森崎静馬を見張るうち、森崎静馬を刺客から助けることになります。この二人の描写もこの作家には珍しい、男臭い成り行きであって、今後の展開が待たれます。

今後の展開が待たれるシリーズの一つになりました。

[投稿日]2015年04月13日  [最終更新日]2015年4月13日
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