雫井 脩介

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幻冬舎

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仕事一筋なのにヒットが出ない漫画家・覚本敬彦は、独身仲間に説得されて結婚相手を探す合コンに打ち込んでいた。社内恋愛に悩む担当編集者の綾子、不倫を終わらせたい人気漫画家・優、婚活中のOL・奈留美との交流を経て、本気じゃなかった彼にも恋の予感が到来。繰り返しの毎日を変えてくれるたった一人の「誰か」を求めて奮闘する六人の物語。(上)
婚活に励む二十九歳のOL・奈留美は、合コンで会った漫画家・覚本にデートをドタキャンされ続けているが諦めきれない。一方、長年の不倫相手と別れた売れっ子漫画家・優は、担当編集者に思わぬダメ出しをされ自信を失くしていた。恋や仕事で新たな一歩を踏み出した彼らに、最後のチャンスは訪れるのか?偶然を運命に変えた人々を描く感動作。(下)(「BOOK」データベースより)

この作者の作品にしては、あまり面白さを感じない作品でした。私個人の好みとして恋愛小説自体をあまり好まないということもあったとは思うのですが、それにしても小説世界へ入ることが困難な物語でした。

本書は、恋人の一人もいないという漫画家の覚本敬彦を中心とした男どもと、覚本の現在の担当編集者である西崎綾子を中心とする女たちの間での、恋人作りに励む姿をコミカルに描いた作品です。まあ、結局はこれらの登場人物の間での恋の駆け引きをえがいてある恋愛小説だと言っていいのでしょう。

文章は読みやすく、登場人物たちの掛け合いも調子よく進み、個々人の心の葛藤なども重くなり過ぎない程度に描かれていて、読み手の感情移入がしやすい物語として仕上がっています。登場人物たちと年代が近い読者などには特に感情移入しやすく、受け入れやすい作品ではないかと思います。

しかしながら、私個人としては今ひとつ入り込めない物語だったのです。


雫井脩介の恋愛小説と言えば、なによりも沢尻エリカ主演で映画化もされた『クローズド・ノート』がありました。映画は見ていませんが、本来恋愛小説をあまり好まない私も、この作品はかなり心惹かれて読んだ記憶があります。こうした作品を書いている雫井脩介の作品ですから、かなりの期待を持って読んだということもあるのかもしれません。

でも、そのハードルを高くして読んだ、という点を抜きにしても、登場人物たちの行動がすんなりとは入ってこなかった、という点が一番でしょう。結局、作者は本書のような物語を書くことで何を言いたいのかが全く見えませんでした。

主人公の覚本の悪友である長谷部や覚本の担当だった編集者の玉石ら、そしてOLの松尾奈留美や、現役の人気漫画家である緑川優、そのアシスタントの紗希など、合コンを繰り返す日々を送っています。私のかつての時代にも本書の若者らの行動と似たようなことをやっていた筈なのに、どこか違うのです。同じように、女の子らと酒を飲み、踊りに行っていた日々であったのに受け得入れ難く感じるのは何故でしょう。

自分でもよく分かりません。

読んだ本の感想文など個人的なものではありますが、今回は特に個人的になってしまったようです。

[投稿日]2017年05月08日  [最終更新日]2017年5月8日
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