重松 清

イラスト1
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文庫

講談社

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四十五歳のおっさんが大学に入り、部員数が足らないために廃部の危機にある応援団を立て直す、というユーモア小説です。

あすなろ大学の応援団は部員の不足により廃部の瀬戸際にあった。そこで、前身である世田谷商科大学の応援団員であったワンマン社長の命令により、総務課長藤巻大介があすなろ大学に入学し、応援団を存続させることになった。応援団OBである斎藤と山下というコンビの指導のもと、藤巻は応援団を存続させることはできるのだろうか。

かつて『嗚呼!花の応援団』という「どおくまん」という作者の漫画がありました。どちらかと言うと雑ともいえる絵で、内容も品の無いぶっ飛んだ漫画でした。しかし、その漫画がとても面白かったのです。当時はテレビでもあちこちの応援団のドキュメンタリーがあったりと、「応援団」という存在にかなり焦点が当たっていたと思います。

でも現在はかつての面影は無いようです。当時でもかなりアナクロな存在だった応援団は一時期は全く消えたようにも思えました。しかし、今ではチアリーダーも取り込んでいるようで、形を変えた存在としてまだ残っているようです。

その応援団にこともあろうに四十五歳のおっさんを入団させようというのですから、『嗚呼!花の応援団』にも似た世界かと思っていました。しかし、設定が設定でもあり、ユーモア満載の物語で、『嗚呼!花の応援団』ほど下品でもありません。あくまで今の応援団なのです。

おっさんが学ラン姿で闊歩するのですから周りは引くばかりです。そうした中で主人公藤巻の娘の彼氏や、応援団OBの息子たちの力を借りながら、何とか頑張っていく姿が読者の共感を得て来るのですから不思議です。

当初は若干ついていけないかとも思った物語でしたが、読み進めるうちに少しずつ引き込まれてしまいました。中年サラリーマンの悲哀を中心に家族の問題をも絡めながら、ユーモア小説としてきちんとまとまっているのです。

現在の本物の応援団も、人間関係などのけじめは残っていると思われ、そうした点を茶化しつつ認めている本書は、それなりにあり得る物語なのでしょう。

[投稿日]2015年04月12日  [最終更新日]2015年4月12日
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