重松 清

イラスト1
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文庫

新潮社

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ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった―。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?…家族や友だち、好きになった女子への思いに揺られながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

東京近郊の桜ヶ丘ニュータウンに住む中学2年生の高橋栄司、通称エイジの日常をリアルに描いて、友達や女の子、そして家族への感情をもてあます少年の一時期を描いています。

この町で起きていた通り魔事件がエイジの生活に関連してきたり、ひざの故障から好きだったバスケットクラブも止めざるを得なくなり、そのやめた後のクラブではいじめがあったり、更には少なからず思っていた女の子から思いがけない言葉をかけられたりと、エイジの日常は様々な事件が巻き起こります。

そうした生活の中でエイジは家族に対してはどこかホームドラマを見ているように感じ、また通り魔と自分との差は何なのか、とひたすら突き詰めようとします。中学二年生という年代の不安定さが丁寧に描いてあります。

本書が発表された数年前に「神戸連続児童殺傷事件」が起きました。俗に「酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)事件」と呼ばれるこの事件は犯人が中学生であることに驚かされたものです。本書はこの事件を受けて書かれたものなのでしょう。大人の視点とそれに対する少年たちの視点の「ずれ」。この年頃の少年の内心をリアルに描写することで、「キレる中学生」に対する作者なりの答えを示したものなのでしょう。

また、この物語の中でも語られている、主人公のエイジという名前とage(世代)との語呂合わせも考慮されているようです。

自分を日常に結び付けている紐(ひも)を切ることが「キレ」ることなのかと考えるエイジですが、物語も終わりに近くなり、小さくキレます。その後のエイジの日常への回帰はまた自分の生活と重ね合わせて見ててしまいます。

青春を見つめ、そして家族をも考えさせる本書は山本周五郎賞を受賞しています。

[投稿日]2015年04月12日  [最終更新日]2015年4月12日
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